Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

避雷針の夏 櫛木理宇

避雷針の夏
避雷針の夏
著者:櫛木 理宇
出版社:光文社
発売日:2014-05-16
カテゴリー:Kindle本

この作家さん『ホーンテッド』がかなり明るめの青春ホラーだったので考えることなく『赤と白』も一緒に借りて読んだらあまりにもテイストが違っていて「…」でした。
『赤と白』も閉ざされた地域における狂気、ここでは「雪と停電」が一つの舞台のキーとなり、『避雷針の夏』では「猛暑と祭り」がより一層の狂気へといざなうキーとなっています。
元々「よそもの」には冷たく言いがかりのような「村八分」と言う存在まである小さな町で起こる、とんでもないまるで津波のごとくの狂気の波が襲うその恐ろしさ!
田舎、と聞くと一見「穏やかで平和」ぽく感じられるのに実際はこんなものでは?
P12

都会の引っ越しと田舎の引っ越しのちがいを、わずか数日で彼は痛いほど思い知った。

近所への付け届け。数年単位で先払いの町内会費。地元消防団および夏祭りへの半ば強制的な寄付。

氏神への奉納。その他なんとかの負担金、完とかの募金



わかるわ~~うちも引っ越すなり「町内会費の徴収」に来たし、町内会費を強制的に搾取しているのにさらに共同募金まで徴収に来て。これは後年、町内会費から出すことに変更されたけど、それまでは搾取、搾取、搾取して浮いたお金で役員が遊びほうけていただろうなあ…公費と私費の区別がつくような賢い人は役員にはなっていなかったのだと思う。


さらに、田舎ではP205


老人は毎日のようにやってきた。いや、正確には「老人たち」だ。


しなびた野菜や賞味期限マジかの缶詰をたずさえ、それらを「おすそ分けする」と称して彼らは上がりこみ、勝手に家中の戸をあけ、時には冷蔵庫さえ開けて中をじろじろと検分していった。(中略)


「茶までだしてやること、ないんじゃないのか」


「出さなきゃ、翌日には近所中で陰口の的よ」平たい声で(妻が)言った。



男って結局、家の事特に近所付き合いに本当に
鈍感!
アンタたちは会社に行きさえすればこんな息の詰まる付き合いをしなくてもいいんだから。気楽なもんだと。


都会で正社員なりで働いている女もこんな風に付き合いもせずに気楽に生きているんだろうなあ…
マンション住まいでとりあえず、しぶしぶとエレベーターで出くわした住人とだけ目礼と言えないような良くわからない挨拶もどきをしていればそれでよし!てなもんなんだろうな。
一軒家の方がほんと、めんどくさい。で、あいさつも満足にできない人間が一軒家に越してきて、家の前すら掃かず、落葉樹の葉が落ちまくっても掃除の一つもしない。のうのうと生きている。
田舎だから都会だからってホント、関係ない。



感想とは全く外れたけど、村八分っていろんな不都合なことを「押し付ける」ための「必要悪」なんだなあ…「士農工商」における「えた、ひにん」って怒りの矛先を向けさせるための人身御供。
今の子供たちの「いじめ」ターゲットがそれの変形なんだな、と。
なんか、日本って国こうやってなぜそれが昔から風習としてあるのか、って見直すと残酷で気持ち悪い国民性だなと思った。



にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ


にほんブログ村


にほんブログ村 本ブログへ


にほんブログ村