Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

ア・ソング・フォー・ユー 柴田よしき

ア・ソング・フォー・ユー 花咲慎一郎シリーズ (講談社文庫)
ア・ソング・フォー・ユー 花咲慎一郎シリーズ (講談社文庫)
講談社
2015-01-09
Kindle本

なんでこんなふざけた表紙なんだよっっ!!!!怒
ほんと、知らない間にドラマ化してたのかよっ!!!!怒
こんな表紙じゃ、この本の良さが全然つたわらないじゃね~かっ!!!
くそったれ!!!!


とまあ、これは花咲慎一郎シリーズと言いまして、
結構アウトサイダーなどちらかと言えば「陰」のタイプの話なんですよ。
元警察官。シャブ中の先輩刑事を射殺したがために退職。
そして個人探偵業及びおっつけられた「無認可保育園の園長」。
しかも、その保育園の権利の為に膨大な借金を負わされ、
どっちに転んでも自身の命で支払わなければならないという過酷さ。
ハッキリ言って四面楚歌過ぎて気の毒に…と言う立場なのだけれど
根底にしっかりと社会問題をうまく取り入れているのでついつい読んでしまう。
だから、こんなふざけた園長モードの写真を表紙に使ってほしくない!
命がけて「子供たちのいる場所」を必死で守って居る園長先生なんだから!!叫



5編収録ですが一篇目の『ブルーライトヨコハマ』だけが単独で
後の4編は繋がっている。
備忘録として一篇目は「呪いのわら人形」がキーポイント。
15年前に一度会っただけの高校生を探しだせ、それが依頼内容。
呪い殺したい相手は愛しているが殺したい相手でもある。
女性ならそれがどんな相手がピンと来るはず。
ただ、依頼者が最終的に手渡されたのは「幸せの倍返しの呪いの人形」。


この人形に頼んで誰かに呪いをかけると、呪いをかけられた人が

幸せになる度に、その倍だけ自分が幸せになるんですよ。

自分が幸せになればなるほど、もっとそいつが幸せになる。

これって、中々強力な呪いですよ。



大人によって心を踏みにじられ心を一旦閉ざした少年が屈することなく、
本来のあるべく姿のままに、むしろ道を踏み外しそうになった年上の女性を
きちんと人の道に戻してあげる…泣きそうでした。


柴田さんは本来こういった社会の弱者的な事柄をうまく別の形にして
問題提議するのが上手い作家さんだと思う。
ただ、薄っぺらな画一的なビルやマンションに個性を奪われた日本の住宅のように
こういった臭いものにふた!状態で「重たい」テーマを扱った小説って
隅に追いやられる傾向なんでしょうね。