Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

図書館の魔法 上巻 ジョー・ウォルトン

図書室の魔法 上 (創元SF文庫)
図書室の魔法 上 (創元SF文庫)
東京創元社

内容(「BOOK」データベースより)

15歳の少女モリは精神を病んだ母親から逃れ、一度も会ったことのない実父に引き取られたが、親族の意向で女子寄宿学校に入れられてしまう。周囲になじめないモリは大好きなSFと、自分だけが知る魔法やフェアリーの秘密を支えに生きてゆこうとする。1979‐80年の英国を舞台に、読書好きの繊細な少女が日記に綴る青春の日々。ヒューゴー賞・ネビュラ賞・英国幻想文学大賞受賞作。




題名と表紙のイラストから受ける印象+背表紙に描かれている作品の概要を
読んで「内気な少女のファンタジー」を想像していたのですが。
これが丸っと裏切られるかのような毒舌というかなんというか。笑
そりゃそうですよね、児童文学ではなく一般書として扱われているのですから。


上巻では自分の母親が「魔女」だとか自分は「フェアリーと話すことができる」
だとかそういうファンタジー要素(?)は確かにあると言えばあるのですが
下手すると「ちょっと精神的に危ない子????」認定されかねない設定。
しかも何かをやったことで双子の妹を喪い、自身も片足を失くしている。
この説明は上巻では説明されておらず、魔女の母親から逃れるために
寄宿学校に押し込められるも、どうしても人と上手く関係を結べないから
浮いてしまう。
で、図書館が唯一の友…と中高時代の自分と重ね合せるものがあった。
と言うわけで読んだ時の一番強い感想が
「懐かしい…」
である。
それも過去に読んだ再読の意味での「懐かしい」のではなく、
当時の自分の気持ちやその他もろもろを思いだしてしまいただただ「懐かしい」。
そういう意味では今の軽い「ラノベ」しか読んだことが無い読者層には
この文体は「暗い」と思うのだが、初期の「氷室冴子さん」が好きな人には
お勧め。

さようならアルルカン (集英社コバルト文庫)
さようならアルルカン (集英社コバルト文庫)
集英社
2014-01-30
Kindle本



それ以上に「早川文庫SF」と言う言葉に反応する人には特にお勧め。
上巻はただただ主人公が読んだSFの感想が述べられているだけの内容、と
言ってもいいほど。かなりマニアック!!
残念ながら私は中高の時SFは筒井康隆さんとか小松左京さんは読んでも
外国のは読んだことが無い。
と言うのも地元の図書館の隅っこ(笑)にこの本のコーナーと言うには
しょぼいながらも専属の棚に置いてあって気にはなっていました。
ただ、表紙のイラストが超バタ臭く、かつセクシー(ほとんど裸のお姉さんとか
天の羽衣状態なお姉さんとか、キスシーンのような感じのもの)だったので
純情な少女は貸出カウンターに差し出す勇気がありませんでした。笑




    ↑
うわ~~懐かしいなあ…
そうそうこんな感じでかなり独特な路線のイラストでしたね~~


さて、下巻では母親との関係とかもう少し解明されるのかな??
「夢オチ」とか止めてくださいよ。(SFあるある)