Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

ハリネズミ乙女、はじめての恋 令丈ヒロ子

ハリネズミ乙女、はじめての恋
ハリネズミ乙女、はじめての恋
KADOKAWA
2016-12-23

まず最初に背表紙の「ハリネズミ」の語彙に魅かれ、
次に本を引き出してこのイラストに「ジャケ買い」ならぬ
「ジャケ借り」をいたしました。


大阪の芸人一家に生まれ育ち「誰も自分を知らないところに行きたい!」と
東京に飛び出した主人公。
しかしお金も底をつきかけた時にひょんなことからペットショップでバイトを始め、
そこに居た「白ハリネズミ」の「白ハリ」君の声が聞こえ(大阪弁で喋ります)
飼い主に。
飼い主と言うよりはもう白ハリ君が人間では得れなかった「親友」以上の
存在になりもう夢中で二人で喋りまくります。
白ハリ君との軽妙な会話がひょんなことから動画に撮られ、それを機会に
あれほど嫌っていた「家業」と言うべき芸人としてデビューすることに…


「ハリネズミのジレンマ」と言う言葉がありますが、まさにそれで
近づきたくてもお互いの針が邪魔で近づけない…
そんなハリネズミの特徴をうまく生かして「人と人との距離、ふれあい」を
表現していました。
この作家さん、知らずに借りたとはいえ最近よく目にする

若おかみは小学生!(1) 花の湯温泉ストーリー (講談社青い鳥文庫)
若おかみは小学生!(1) 花の湯温泉ストーリー (講談社青い鳥文庫)
講談社
2014-08-08
Kindle本

の作者さんでした。
元々児童文学作家だけあって心の機微を表現するのが非常に上手い作家さんだと
思いました。


ハリネズミと会話…大人女子でも思い当たると思うのですが
幼き頃、ぬいぐるみ達そして生きたペットである彼らと
普通に会話してませんでしたか?
「大丈夫だよ」とか「今日も頑張ろうね」とか。
自分で自分を励ますために彼らと会話をしていたことを。
負けそうになったりくじけそうになった時に彼らと喋っていたことを。


泣ける一冊です。