Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

俺は駄目じゃない 山本甲士

俺は駄目じゃない
俺は駄目じゃない
双葉社

内容紹介

『どろ』『かび「』『とげ』の三部作で人気を博した、著者の「巻き込まれ型」小説の決定版がここに!


内容(「BOOK」データベースより)

ある日、下着泥棒と間違えられて逮捕され、職も失った名井等、35歳。誤認逮捕の経緯を書いたブログ「俺は何もやってません」は予想外の共感と反響を呼び、いつしかちょっとしたヒーローに。しかし、有名になったために、謎の嫌がらせや、襲撃事件に遭い、あげく、指名手配犯から協力を頼まれちゃったり…。で、やっぱり、「なんでこうなるんだ」ということばかりだけど、それでも、なんだか、俺は、いま…著者の代名詞「巻き込まれ型小説」、その集大成がここに。


この方の本は「巻き込まれ型小説」と言うのですね…
そもそもこの人の本を読み始めたきっかけが出版順に言えば「最新」のものから
順に古い方にさかのぼっているのである意味「似た話」感は半端ないです。
と言うかワンパターンに近いです。笑
ただ、初期の本はバッドエンドだったのかハッピーエンドに変化したのが
救いかと。本作は特に「ああ、良かった」感がありましたので安心して
お薦めできます!笑


上記に転載した説明にもありますが、本作は冤罪を受けた主人公が
何気に書き始めたブログのコメント欄から色々話が発展していきます。
こういう時、なんていうのかなあ、別に自分が求めたわけでもないけど
本の方から近寄ってきてくれる感覚を持ちます。「俺をor私を読め!」と。
普段は背表紙からオーラを感じまして手に取って借りる…と言うパターン。
今回は一旦気に入った作家はトコトン蔵書がある限り読み尽くす=予約を
入れまくる パターンです。その経緯でこれを引き当てるとは…


p324

「そう、そのために、広くコメントを受け付けるタイプのブログを

勧めたし、安易に削除しない方がいいというアドバイスをしたんだ。

私の中では、中傷コメントに対して名井さんが感情的なリコメをし、

更に険悪なやり取りになって、他の野次馬も巻き込んでブログが

引っ掻き回されて、名井さんがやる気を失くしてブログを閉鎖させる、

と言うシナリオを描いていたんだ。

ところがあんたは案外ハートが強くて、中傷コメントに対しても

感情的にならず、真面目なリコメをした。

そのせいで、他の人達が名井さんの味方をする雰囲気になり、

私の計画とは全く別の方向にうねりが起き始めた」



この話では社会的地位のある人が親切そうな顔をしてアドバイスと言う形で
実は主人公を「嵌めようとしていた」と言う流れ。
冤罪もそうですが、日常いつ自分が「嵌められても」おかしくないという
自覚を持つべきだな、と思った次第。
誰がウソを言って誰が本当のことを言っているのかを
見抜くだけの「観察力」「冷静さ」もホント必要。
「あれ?」と思う違和感といった「勘」もバカにしたらダメ。
いつ本当に自分が巻き込まれてもおかしくない。
自分の身は自分で守る。
残念ながら人間みな自分の身が一番かわいい。