Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

東京すみっこごはん 2 成田名璃子

東京すみっこごはん 雷親父とオムライス (光文社文庫)
東京すみっこごはん 雷親父とオムライス (光文社文庫)
光文社
2016-04-12

シリーズ第二弾。
本来は1巻で完結していた話なのに多分人気があったので
編集者が無理やり引っ張ることにしたのでしょう。
これって少年漫画あるあるで作者は終わりたいのに編集者の
意向が勝った挙句担当チェンジ!でグダグダになった末、
完全自爆のフェードアウトになるパターンが多いので
きちんと作家の意思が入ったもので続けてほしいものです。


さて、作者としては3話目の『雷親父とオムライス』を
副題に持ってきているのでそれが一押しなのだと思いますが
(多分、お涙ちょうだい傾向に持って行きたかったのだろう…)
年齢的に4話目の『ミートローフへの招待状』のおせっかいオバサンの
代表の「田上さん」の気持ちに共感&同化してました。



p274

それでも私は、ここだ、と思った。

みんな喜んで食べてくれる場所が、再び現れたのだ。

(中略)

それに長い間、誰かの為にご飯を作り続けていると、

作ってもらうということが贅沢に感じるものだ。

外食ではなく誰かの家庭料理というのは、

それこそ実家に戻るか、姉妹やよほど親しい女友達の

間でしかありえない。そしてこの歳になると、

中々そのシンプルな事が難しい。

私は狂ったように料理を作った。

作って、作って、作りまくった。

誰かに食べてもらうということが、あの時の私には

断固として必要だったのだ。

すみっこごはんの厨房と言う逃げ場が無ければ、

お酒におぼれていてもおかしくなかった。

「子ども食堂」と言うものが最近目に付くようになりましたが
もしかして子供の為にじゃなくて、私の様に
「空の巣症候群」に陥った人のための救済でもあるのかも
しれない、そんな風に思いました。