Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

砂に泳ぐ 飛鳥井千砂

砂に泳ぐ
砂に泳ぐ
KADOKAWA/角川書店

因みに文庫本の時は

砂に泳ぐ彼女 (角川文庫)
砂に泳ぐ彼女 (角川文庫)
KADOKAWA / 角川書店
2017-06-17
Kindle本

と「彼女」が追加された題名に。


25歳から35歳までのある女の10年間を追った話。
25の時は地方国立大学を出たのに就職難でとりあえず携帯ショップで
働いていたものの地方独特のプライバシーに踏み込んだ生活が嫌で
東京に出ることを決意。そこでサポセンの仕事をしつつ趣味の写真を
しているうちに編集者の目に留まり、最終的にはプロのカメラマンとして
独立して行く話。
なのできれいな言い方をすると「シンデレラストーリー」と言うそうな。
しかし、そこは私がぶった切る材料として「ダメ男との遍歴記」だな、と。
25ぐらいで付きあっていた男とも自分はそれほど気が無くても
押し倒されたら「ま、いっか」と流され、東京に出てきて作った男とも
なんとなくその延長で流され、しかも相手の男が気分屋(すぎて)
振り回されているという。
読んでいて「さっさと別れろよ。このクソ女!」とイライラ。


あえて、
10年間の「違い」を強調するための性格付けなのかもしれないが
20代のこのクソ女の性格は「優しい」「気配りができる」に特化。
しかし違う見方をしたら
「この女、良いように利用されているだけなんだけどな」としか。
その優しさと言うか便利さに付けこまれているから、ろくな男と
付き合えない。また、そんな男としか縁が無い。引き寄せられない。


35になった頃には強くなって対等性を強調した
話になっていくのですが、利用してきた人間にとっては
「君は変わったね」という言葉を放つ。
言われた方は一瞬、引くというか当惑し、一つ間違えると傷つく。
でも、それが利用する側の狙いというか作戦だと思う。
人を利用することに抵抗の無い人間は、利用する人間の
弱みをよく知っていてピンポイントで攻撃してくる。