Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

自己愛モンスター 片田珠美

(085)自己愛モンスター (ポプラ新書)
(085)自己愛モンスター (ポプラ新書)
ポプラ社


三鷹ストーカー殺人事件、スマイリーキクチ中傷被害事件、
PC遠隔操作事件、STAP細胞騒動などの事件を例に挙げて書かれています。
最近感想を書いている本は「京アニ」事件の前に借りていました。
偶然とはいえどこか「精神科医」を受診した方がいい人がこれほどまで
世の中に、そして私たちの横に何気なく存在しているか…と。
今後、著者がこの手の本を書く時には真っ先に事例として「ヤツ」を
挙げて欲しいです。


身近な著者の患者の事例としてp84

Eさんはよく学位論文を書いたと言って、数式らしきものが乱雑に

描きこまれた意味不明な内容のノートを私に見せてくれた。

そして、それを京都大学に送って博士号を取れるように

計らってほしいと頼むのである。

彼の希望に沿うことが不可能だったのは言うまでもない。

Eさんの場合は妄想なので、訂正不能なのは当然だが、

そこまで行かなくても

自分の願望に沿うようにしか現実を見られない人の思い込みを訂正するのは難しい。


p97

「大量殺人の心理・社会的分析」より6つの要因

A.素因

1.長期間にわたる欲求不満

2. 他責的傾向

B.促進要因

3.破滅的な喪失

4.外部のきっかけ

C.容易にする要因

5.社会的、心理的な孤立

6.大量破壊のための武器の入手

これは2008年6月に「秋葉原無差別殺傷事件」を起こした加藤に

ぴったりと当てはまる。

まさに典型的な大量殺人犯と言えるだろう。


結論的にp176

スペインには「幸福こそ最大の復讐」ということわざがある。

特定の誰か、あるいは社会全体に仕返ししても、

あなたが不幸になるだけだ。

それより、

復讐したい相手がうらやむほどに幸せに

なることを目指そう。それが復讐願望を乗り越える

最善の方法なのである。

もう今更何を言っても亡くなった人々が還ってくることは無いのですが。
それでもこんな危険因子を持つ人間が世に放たれることの無い
世の中になって欲しい。
私の子どもと同世代である人達が多かったというのも私の
心に影を落とす。
大切に慈しんで育ててきただろうに。
「さあ、これから!」とまさに夢と希望に満ちていた人達が
あんな理不尽な理由で命を落としたのでは耐えられない。
本当にただただ悔しい。そして悲しい。
無関係の私ですらこんなに打ちひしがれるのに、遺族の方々にしたら
本当にどんな気持ちで過ごされているんだろう…
心が本当に痛いです。