Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

上流階級Ⅱ 高殿円

上流階級 富久丸百貨店外商部II
上流階級 富久丸百貨店外商部II
光文社

「Ⅰ」を読んだ時も思ったのだが、この作者の本に共通する
「色々詰め込み過ぎて、テーマがイマイチわかりにくい」
と言う欠点は相変わらず。
また、「上流階級」というか「富裕層」相手の外商を主人公に
持ってきている割に「Ⅰ」を未読、もしくは私の様に読んでから
かなりの期間を置いて読む人間にとっては
「はて?この人って何だったけ?」状態の人間は完全に置いてけぼりになる。
口に出さない要求を素早く読み取るのが外商の仕事であれば、
さりげなくこの人とはこんな関わりだった…と
説明描写があってもよろしいのでは?
もしくは、いっそのこと前回の登場人物は一切出さず、
一新していつだれが読んでもわかる内容にすべきなのでは?と。
結局「外商」について書いている割に、肝心要の作者に
「サービス精神」が無かったのですわね。
ヾ(  ̄▽)ゞオホホホホホ


p191

サービスというのは、それに大きい小さいあれども〝恩〟なのだ。

この恩こそが信頼関係の構築に繋がり、

一見客をリピーターに変えさせる。

その為の丁寧な接客、笑顔、物腰だ。

決して接客だけがサービスではない。

ユニ黒の販売員に読んでほしいですね。


こんな風↑に「富裕層」のお金の使い方、物事の考え方を
「貧民」に教える内容にしぼって、
いっそのことその「違い」を
コメディーレベルにデフォルメして、
「恩」をいかに売るかの構成にして
読者を「感動」させればいいのに…


しかし、この作者の傾向として「盛り込みがち」になるのは
これを「お仕事小説」にしたかったのか?と思う描写も多々出てくる。
女性客が大半以上を占める百貨店なのに、なぜか会社の上部は「男」。
提案しても男が理解できないので採用されない。潰される。
その「歪みが」


p61

(男社会はシモネタ活用って、こういう時に思い知るな)

同僚がよく言う、社内の真理である。

シモネタを上手くかわせる女子こそ出世するのだと。



p102

会社と言うところは不思議なもので、手柄を立てた、あるいは

有能な人間が有能さを評価されて出世するということはあまりない

手柄は立てた、それは評価する。

しかし実際出世するのは、出世させる者にとって都合のいい人間だ。

つまり、無害か、その人間の手柄を独り占めできるくらい年次が

あいているか。

↑ あるあるですよね。
「何でこの人が?」って人が上に来て下は大混乱…
この部分を読んで諦めてください。「なるほどな…」と。



「お仕事系」として読ませたいのであれば
富裕層とのかかわりその他のキャラとの絡みは一切カットして
スッキリさせた方が際立つものがあるのになあ…と。
構成が残念。