Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

ハリスおばさんパリへ行く ポール・ギャリコ


ハリスおばさんパリへ行く
ハリスおばさんパリへ行く
著者:ポール・ギャリコ
出版社:復刊ドットコム
カテゴリー:本

ロンドンで掃除婦orお手伝いさんをして生計を立てているハリスおばさん。
多分一日500円程度のお給料で50万円相当のクリスチャン・ディオールのドレスが欲しくてお金を一生懸命貯めてパリのお店に行きます。
今でこそ平気でカードで高価な商品を若い子が買ってしまう時代ですが、おばさんの時代はひたすらお金を貯めるしか方法は無く。
やっとの思いで貯めて、お店に行くと買ってその場では持ち帰れない…と告げられ大泣き。
純粋にただ本当に「素敵!欲しい!」とその一念で来たのに、それがかなえられない時の純粋な涙にその場に居合わせた人が心を動かす…
本来なら一か月ぐらいは余裕でかかるドレスを一週間と言う超短期間でみんなが力を合わせておばさんの為に!!と仕上げただろう努力を読むうちに感じられます。
決して直接表現ではないのに、なぜか感じられる「真摯な職人気質」。ウルっときます。
ディオールと言う実在の人物を取り上げ、けれど実際におばさんの様な人がお客としてきたらこのような「奇跡」は起こっていただろうなあ…
文章は初めから子供向きに書かれたのかどうか不明ですが(1973年に講談社少年文庫として発表されたものを底本として復刊されたもの)、少々変な訳に感じるし、低学年では書いている内容が難しいと思いますが、それでも「ちゃんと生きていれば神様は見ているし、間違った行いをするとそれなりの罰をお与えになる」とここでも「神様」の存在を示す内容になっている。
子供向けの微妙な言い回しを大人向けになおしてくれたら、むしろ大人の方が感動する作品だと思う。(これもまた鬼の目に涙…現象が…)
きちんと正しく生きましょう!!!!


因みに文頭にディオールの作品の写真が掲載されており本当に素敵!!
右下の黒のドレスなんて今でも十分通用するだろうし。
(ただし、やっぱり気品と知性のある若い人向き…
下品な今時の日本人の女子には無理ですね。服が気の毒…)


p.s
去年映画『イブサンローラン』を見ていたので、当時の「コレクション」の状況が理解できてよかった。



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