Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

最後の医者は桜を見上げて君を想う 二宮敦人

最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫)
最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫)
TOブックス
2016-11-18
Kindle本

先日のビブリオバトルの決勝時にバトラーの女子高生が我々に問いました。
「もしあなたが不治の病だとして、延命治療を望みますか?それとも
望みませんか?挙手を願います。」と。
私は延命治療なんかまったく望まない派なので迷うことなく
「望みません」の時にはっきりと手を挙げました。
さらに彼女は言葉を続けます。
「ではもし、不治の病があなたの両親、子ども、そして大切な人であった
場合はどうでしょう?」と。
これはさすがに悩みましたね。挙手は求められませんでしたが。
これが彼女の一番問いたい点。
聞いていることは同じ。「延命治療するかしないか」。
ただ違うのはそれが自分か自分ではない人ということだけ。
質問は同じなのに、対象者が違うだけでその考え・答えは千差万別。
さて、困ったぞ、と。


とまあ、かなり興味が引かれたので借りてみました。
登場人物は

福原雅和(ふくはら まさかず)…天才的な外科医。

患者の命を救うことに執念を燃やす。



桐子修司(きりこ しゅうじ)…患者には死を選ぶ権利がある、

が信念。ついたあだ名は「死神」

この二人の医者と二人の友人でもあり医者でもある「音山」が出す答え…


ま、感想を書くと「ねたばれ」になりますし、それ以上に病気とか
障害系を下手な文章で書くと「炎上」というか、
ろくでもないコメントをもらうのも嫌なので今回は書きません。笑
(ムラゴンに来る前にやっていたブログで痛い目に遭いました。
それも10年位コメントのやり取りをやっていた奴に)


で、私らしいアプローチとしてはまず登場人物の「名前」に
癖があるなあ~と。
「桐子」ですよ「きりこ」。
そこで思い出すのが『ブラックジャック』!
という事でウイキで検索すると…


手塚は「ブラック・ジャックは医療技術の紹介のために描いたのではなく、医師は患者に延命治療を行なうことが使命なのか、患者を延命させることでその患者を幸福にできるのか、などという医師のジレンマを描いた」としている[23]。



という事で本作の「ふくはら まさかず」という医者の名前は
こんな風に読めませんか?笑


ふくはら まさかず
ぶらっく じゃっく


次に『ブラックジャック』に出てくる「ドクターキリコ」。

元軍医で、戦場で満足に医療品もない中で瀕死の重傷に苦しんでいる兵士たちを安楽死させて感謝された経験から、「完治の見込みのない患者を下手に生存させ苦しませ続けるよりも、安らかに息を引き取らせた方が良い」という安楽死に賛成する信念を持つようになり、死に神の化身の異名を取りながら法律にふれないように、特殊な薬品や機器を用いての安楽死を請け負うようになる。




と、考えると今回の作品の二人の医師が何をイメージして書かれたのか
見えてくると思うのですが、残念ながらこのことを指摘している
密林レビューはとりあえず見当たらないところを見ると
『ブラックジャック』を知らない世代が感想の大半を書いてるんだなあと。
元の作品に該当するものを知っているのと知らないのとではかなり感想に
差が出ると思うんだけどな。
漫画とはいえ「良作」なんだから読もうよ、中高生のみんな!笑