Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

最後の医者は雨上がりの空に君を願う 二宮敦人

最後の医者は雨上がりの空に君を願う(上) (TO文庫)
最後の医者は雨上がりの空に君を願う(上) (TO文庫)
TOブックス
2018-04-02
最後の医者は雨上がりの空に君を願う(下) (TO文庫)
最後の医者は雨上がりの空に君を願う(下) (TO文庫)
TOブックス
2018-04-02

一言で言えば前作と比べて「残念だな」。
というのも前作『最後の医者は桜を見上げて君を想う』は
もう作者自身が「書きたい!!!知って欲しい!!」みたいな
「熱」を帯びて読者に直球勝負を挑んできた
「勢い」「迫力」「圧迫感」みたいな物を感じ、
ごちゃごちゃ言ってないでもし自分がこの状況下に置かれたら
自分はどう判断を下す?答えを出す??
自分で考える「問題提議」をされた気がするのに
こちらは「え?難しかったですか?では、二人の正反対の医者が
いかにしてこのような考えに至ったのか解説しましょう!」
みたいな「ガイドブック」的もっと言えば「普通のエンタメ小説」に
なり下がってかつ医療系本あるあるの「感動させよう!」みたいな
「姑息」「あざとさ」まで感じ取ってしまいましたよ。
完全「蛇足本」。
感動がすっと冷めて「あほらし」って背を向ける…そんな感じ。


とはいえ、本作における「とある医者の死」は認知症を扱っており
その「戸惑い」がきっと舅もこんな「恐怖」と闘いながら過ごして
来たんだろうなあ…こんな風に孤独に感じていたんだろうなあ…と
共鳴する部分もありました。
一番はつらつとした時の記憶だけが一番鮮明でその世界に住んでいる…
舅が一体どんな世界を見ながら過ごしていたのか舅の頭の中の視点が見た
かったな、と思っていただけにこんな風に思っていたのならいいな、
とも思えました。