Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

よるの美容室 市川朔久子

よるの美容院
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講談社
Digital Ebook Purchas

冒頭部分、ほわっと暖かく緩やかなそしてなんとなく懐かしくて心がゆったりと
深呼吸することを思い出させてくれる描写から始まります。
「優しい文章だなあ…」と常に心がいら立っている私(笑)ですら「ほっこり」と
ゆったりとした時間を取り戻す感覚になりました。
が、ここから始まる内容はかなりディープ。
小6の女子がある事をきっかけに声を失います。
預けられた先で徐々に声を取り戻す…と書いてしまえばありきたりですが
読んでいて「ほっこり」「ホッと」そして「にやにや」してしまうという
これこそ児童書の醍醐味!みたいな要素がちりばめられており読後感は
非常によろしいです。


声を失った娘にさらに追い打ちをかけるような母親(勉強が遅れる、と超難しい問題集を
宅配で送りつけたり、「優しい場所」から一歩踏み出して両親の元に帰った後も難関塾への入塾を仄めかしたり…鬼かよ…)の存在…
でも、それってやっぱり今どきの母親像であり自分もそんな鬼母だったのかな…と
反省したり…若干胸が痛くもあり…でもここまでひどくなかったと思いたい。
親も弱い人間でしかない。思春期の子供を持つ人はほんの少し「自分がどうだったか」「自分が同じことを親に言われたらどう思うか」そんなことを思い出すきっかけになればいい。お勧めの一冊