Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

愉楽にて 林真理子

愉楽にて (日本経済新聞出版)
愉楽にて (日本経済新聞出版)
日経BP
Digital Ebook Purchas

ネット記事かでこの本の紹介を読んで予約した本。
予約者あと一人か次が私!!!!という時にコロナで閉館…
予約して一年近く待ったこの本の感想は…


読み始めてすぐに「私はなぜこの本を予約したんだろう…」という疑問だけ。
どういった部分の説明にひかれて予約したんだろう?こんな下世話な内容を読むために…ただ単に超金持ち男の「下半身事情(に伴うお金の使い方)」を読んで知るために多くの予約者と同様に心待ちにしていたのか?という疑問と困惑しかなかった。


昔で言えば大店の若旦那が店の金を使ってただの女郎ではなく「花魁」に入れ込んだ…
そんな感じというかそれが「粋」であり「金を使う文化」でもあったのだろうけど。
現代の50代男が役員報酬で何の苦労もせずひたすらおいしいものを食べきれいな女と寝て…という描写を延々と読まされる身にもなって欲しい。
確かに一般貧乏人…それこそ10万円の給付金を「大金」としてありがたく頂戴する身にとってはそんな「公然の秘密のような遊び方」をする人たちの生態を知る一環としては
面白い着眼点とも言えるが、それならいっそこんな下卑た小説ではなく「風俗史」的な書物=資料になるような形にしてくれた方がこの作者独特の「性格の悪さ」描写を読んで気分が悪くならずに済むのに。


いたるところのこの作者の性格の悪さ=女に対する辛辣さと観察眼が表に出てきて
それがどうしてもこの人の書く小説に「毒」や「アクセント」になって面白い反面、読者には「残念感」というか読後感が悪くなる。


マザコン男が85歳の母親に再婚を勧められ及び付き合っている女性を説明する描写にて
p452

「その中国人、そもそも幾つなのよ」

「五十三歳だ」

「五十三!」

真佐子は叫んだ。

「どうしてそんなお婆さんと!?」

「お母さんが勧める美和子さんも同じぐらいだよ」


現在52歳の私は大金持ちの85歳の糞ババア老婆から見れば「お婆さん」…
金持ち階級の性格の悪さ・結婚に対する意識がよくわかる一節。
この手の人たちにとっては嫁は「子供を産む道具」でしかなく、それは先祖代々の
資産を引き継ぐべき存在を生み出す道具でしかない。よって子供が産めない年齢よりも馬鹿でもいい「若い女=子を産める女」にしか価値観を見出さない。