Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

よりみち3人修学旅行 市川朔久子

よりみち3人修学旅行
よりみち3人修学旅行
講談社

表紙イラスト、左から語り手の天馬、風知、柊。
三人三様の理由から修学旅行に行けなかった3人が小6から中学に入学するまでの
春休みに風知のお父さんに会いに行く話。
ただし「ミッション」があり風知の卒業アルバムに知らない人10人の寄せ書きと
証拠写真を約束の夜6時までに集めること。
「なんでおれが…」とぶつぶついいながらも協力しあってそして友情を深めていく…


って書くとただのお気楽道中物語になってしまうのですが、この作家さんが
そう簡単に終わらせるはずがない。笑
このミッションには「裏」があり、父親から出された「課題」を風知がクリアできないと
その年の「養育費が減額される」というもの…



読んだとき毛が逆立ちましたよ!!!!怒
因みに毎年父親との「面談」に際して課題がクリアできなかった風知は帰宅後
学校に行けなくなるぐらい疲弊していて段々不登校に。その流れで修学旅行にすら
行けなかったという…
もうなんていうか、この父親に対して怒りしか湧きませんでした。


最近の児童図書はこんな重いテーマを含んだものばかりなんでしょうか?
お気楽に読んで「ああ、面白かった!」では済まされないような話ばかりで。
市川朔久子さんがあまりにも時代を切り取った内容をさらりと組み込むのが
うますぎるとも言えるのでしょうけれど。


大人…特に親の心ひとつで振り回される子供たち…
ぐっと我慢して…というよりもなんて言えばいいのかわからず
大人に対抗できるだけの言葉を持たないから言えないだけ…
我慢して、我慢して…そしてある日爆発…


タイムリーに宝塚のボーガン事件が起こりましたが、きちんと「犯人」の気持ちも聞いてやって欲しい。やったことは「殺人」であり「悪いこと」ではあるのだけれどそうなる前に「何か」あったのは確実。彼の心の過程が知りたいと思う。