Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

おもてなしの仕組み 西尾久美子

おもてなしの仕組み - 京都花街に学ぶマネジメント (中公文庫)
おもてなしの仕組み - 京都花街に学ぶマネジメント (中公文庫)
中央公論新社

どなたかが紹介されていたので読んでみた。
元々は2007年発行された本を改題、補筆、修正したもの。
なのでp3文庫化にあたりに

「おもてなし」、2020年に東京オリンピック開催が決まるとともに、

この言葉に触れる機会が多くなりました。

と2014年に発行されるにあたって加筆されていますが、悲しいかな現状はオリンピックどころかコロナ禍で観光業界の「おもてなし」の心は風前の灯。
今なら外国人がいない京都にGO!したいところだが、完全に「第二波」が来ているのに行く勇気はない。
それどころか「GO TO キャンペーン」でむしろ移動を煽っているのは
「だって第二波が来ていると言っちゃったら補償しないといけないから。行く行かないは国民の判断に任せる」と丸投げしてますもんね~


さてさて、「京都の花街」について書かれた本書。花街なんてある意味「シークレットゾーン」そのものなのにこうやって外部に情報が出たのも筆者がp8

実家が代々下京区で米穀商を営んでいた家で生まれた

からだと思う。いわゆるバックボーンがシッカリしているからこそ口の堅い「お母さん」をはじめ関連業者が口を開いてくれたのだと思う。もし京都市外の人がどれだけ頼んでも
「うちはなんもお話しすることはありまへんえ」とすげなく取材拒否の憂き目にあうんだろうなあ…だからこそ、今まで花街のマネジメントについて書かれた本が少ないのだと。
自分の所属する芸舞妓さんたちは当然の事、出入りの業者にも「察する心」と求める
「お母さん」が「これ以上の事は…察しておくれやす」なニュアンスで語ったらそこで
取材をストップするだけの技量が無いと無理だろうなあ…
そこをわざとか作家魂がうずいたのか鈍感さをいかんなく発揮してずかずかとあからさまに下卑た内部事情を盛り込んだのが↓

愉楽にて
愉楽にて
日本経済新聞出版

だと思う。
先に『愉楽にて』を読んでしまったので今回の筆者がきれいに上品にまとめたものを林さんはズバッと暴露してしまっている…感がありますね~笑
「お座敷遊び」のお座敷遊びもいかんなく書かれているし。
文化というものは公式文献よりもこういった風俗が盛り込まれた小説の中にこそあるのかもしれない。