Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

旧共産遺産 星野藍

旧共産遺産
旧共産遺産
東京キララ社

まず表紙の写真を見てこれは何だと思います??
SF映画のセットにしか見えないと思いませんか?
全編そんな感じでこれがもう今はただの「廃墟」として放置されているものだとは到底思えないほど「美しく」そして時代を反映したオブジェの数々だとしか。
表紙はハンガリーにあるケレンフェルド発電所だそうで1927年建築
内部のグリーンの制御装置がレトロ感満載でホントここで十分ロケができそう。
社会主義から民主主義へ…
栄華を誇っていた社会主義の資本力に支えられて作られた建造物は今や打ち捨てられ、
日の目を全く見ない。当時の指導者たちの顔写真やオブジェは落書きされ破壊されている。
今、これらのオブジェを作るとしたらどれだけの費用が掛かるのだろう?
草木に覆われることなく石でできた建造物はむしろその白き姿をいまだに息づいているかのよう…
革命、戦争といった悲惨な歴史。そして社会主義の崩壊…
日本人ならその背景を知らずに「映え」だけの為に必死になってみんなでピースして
写真をアップしそうな「ホーク」のオブジェ。
それはモンテネグロにある「憂国の士の記念碑」。


一見可愛らしく見えるが、それは戦争の犠牲者が吊り下げられた絞首台を象徴しており、根本の祭壇には小さな赤い永遠の炎が灯されている。

モニュメントには「彼らは1943年12月の朝、ドイツの占領者と国内の裏切者によって絞首刑にされた」と刻まれている。



無知は本当に罪である。
ユーゴスラビアの歴史など全く知らずにいる日本人は本当にお気楽で平和ボケしすぎた民族だとつくづく思い知らされる。
150ページほどの一日あれば全部見るには十分な内容なのに、なぜか「重く、憂鬱になった」ので次々ページをめくることができなかった。


無機質なこれほどまでない無機質な物体なのに…



さよなら妖精 (創元推理文庫)
さよなら妖精 (創元推理文庫)
東京創元社
Digital Ebook Purchas

↑これを思い出した。
推理小説として読めばイマイチなのかもしれないが、サイドストーリーとも言うべき裏に隠された日本人には想像もつかない「内戦」という愚かさが賢明で美しい女性をあっけなく死に追いやる…そこに意識を向けたらこれほど悲しい物語は無いのに…
イマドキの日本人の若い子が書いている感想があまりにも表面的な事しか感じ取っておらず
残念だな、と内容より感想に対して怒りを感じた一冊。