しらない町 鏑木蓮
- しらない町
- 著者:鏑木 蓮
- 出版社:早川書房
- カテゴリー:本
この作家さんの本を出版順に読むとつくづく思のだが、よくもまあこれだけ作風が一作ごとに違うなあ、と。
新人として作家デビューした大体の人が2,3作は大体似たような内容、作風で4作目ぐらいにやっと出版社の縛りから解放されたかのごとく全く違う内容、作風になることは良くあることだけれどこの人ほど毎回違うのもある意味珍しい。
さて、本書はデビュー作と言うか基本に戻ったかのように『東京ダモイ』系と言うべきか。
戦争に行った人たちが黙して語らない、言いたくない、沈黙を死ぬまでし続けるという戦争を体験していない者からしたらどうしてそこまで「秘するのか」と訝しげに思うのだが。
むしろ『永遠の0』ではないけれど、ば~~んとマスコミを利用してでも事実はこうです、過去はこうでした、本当に愚かな事でした!と声に出して言わない限りいつまでたっても過ちを犯し続ける国でいると思う。
唯一の原爆体験国と言う割に実はその戦争の実体を一番知らない、知らされていない表面だけの情報操作をしまくられている国ではないかとすら思う。
死者の名誉の為に、と秘するのではなく名誉を守りつつも真実を語って欲しいと願うのは思いやりのない人間なのでしょうか?
ところで本書の題名の『知らない町』と表紙のイラスト、正直違和感があるのですが。
題名だけでももう少し何とかしてほしいものです。
p.s今調べたら『エンドロール』と改題されて文庫化されたそう。
なるほど、そっちの方がしっくりくる。
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