Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

芳一 堀川アサコ

芳一
芳一
著者:堀川アサコ
出版社:講談社
発売日:2013-01-25
カテゴリー:Kindle本

惜しいなあ…この人絶対に現代ものを書くよりこっちの室町物を書く方が上手いのに。
現代もの例えば「幻想」シリーズを先に読んだら絶対に次を読もうとは思わない。
私はこの人の「イタコ千歳」シリーズを最初に読んだから、全作図書館で続けて借りたから良かった(?)ものの、感想は現代ものに関しては「読むのは時間と金の無駄」と切っているぐらい。
一方、この『芳一』や『月夜彦』と言った単発の方が絶対に面白い。
元々本人も「室町が好き!」で書き始めたのならこっちの道を選ぶべき。
大人の事情=出版社の事情とも言うが、それが許さないというのなら、せめて『幻想』シリーズは
さっさと出版社を変えて、購買層、読者層も小中学生に絞ったら違う結果が出そうなのに。
まともな、普通に普段から小説を読む「大人」にこの人の現代ものは絶対に受け入れられない。
文章、設定、その他もろもろのレベルが到底「小説」とは言い難いものだから。
小中学生ぐらいならこれぐらいの「穴」が開きまくりの小説でもなんとなく許してくれそう。


さて、本書。
この人の本領発揮と言った感があり、摩訶不思議でかつ理屈では通用しないストーリーが難なく受け入れられる。
多分、書いている本人も楽しんで乗って書いたのでは?
表紙のイラストの「芳一」であろう人物もちょっと悪そうで主人公そのものを表現しているようでぴったり!
芳一と言えば「耳なし芳一」を連想するけど、あの気の毒なラストを迎える人物とは別物。
この人の作品をもし推薦するならこれかな?