Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

響け!ユーフォニアム2 武田綾乃

【TVアニメ化】響け! ユーフォニアム 2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏 (宝島社文庫)
【TVアニメ化】響け! ユーフォニアム 2 北宇治高校吹奏楽部のいちばん熱い夏 (宝島社文庫)
宝島社
2015-03-05

京都大会から関西大会へ…
徐々にステップアップして行く吹部と並行して「女の友情」が
裏テーマになっているように思う。
これ、アニメで先に知った作品ですがアニメはまんべんなくそれこそ
男子受けするキャラ造形なのに対して原作は「女子向け」だと思う。
そう、高校生の人格形成にもっとも重要な時期における心理的な葛藤。


ある女子の場合「幼馴染」と言う隠れ蓑によって本心が伝わらず、
また伝えることができない。
また別の女子は「友情以上恋愛未満」と言うぎりぎりの感情を相手に
持っているかのような描写があります。
いつも一緒に居ることが当たり前で何の疑いも無かったあの頃…


そしてその「距離感」が変わって行くことを、
多分大学生の頃にはわかっていた作者。(すごい、早熟。大変ねえ…)
p119

怖いと思った。今この瞬間が、過去になってしまうことが。

(中略)

こんなに大好きな友達ともいつかは離れ離れになってしまって、

ほとんど会わなくなってしまうのだろうか。

特に理由なんてものは無く、ただ当たり前みたいな顔をして、

友達から知り合いへと移り変わってしまうのだろうか。

それが大人になるということなのか。

久美子は知っている。友情は永遠ではないことを。

中学時代に毎日顔を合わせていた友達も、すぐに疎遠になってしまった。

いまというこの瞬間を容器に詰め込んで、冷凍保存できればいいのに。

そうすれば、こんな風に怖がることなんてなくなるのに。



女の友情なんて幻もしくは奇蹟かもしれない…
特に大人になればお互いが「同列、同レベル」なら問題は生じないけれど
明らかな「差」が付いたときに、一気のその関係は崩れる。
相手が自分より「下」もしくは「劣っている」と感じる時だけ
一方的な「友情」が存在するのかもしれない。
もしくはいまだに一人でいるのが嫌で不安で、
誰かとつるんで仲のいい振りをして「独りじゃない」
と思い込みたいのかもしれない。