Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

しろとましろ 知野みさき

しろとましろ 神田職人町縁はじめ (招き猫文庫)
しろとましろ 神田職人町縁はじめ (招き猫文庫)
白泉社
2015-07-03

主人公の「咲(さき)」は女だてらに「縫箔師(ぬいはくし)」だ。
※縫箔師とは江戸時代の刺繍職人の事
現在26歳、独身。この時代では年増の部類に入りつつある。
10歳の時に縫箔師の親方のところに奉公にでて、女中見習いから
初めての女弟子となり、兄弟子と結婚するかと思いきや
「仕事は止めて、家事に専念してくれ」的な事を言われて
断わったために破談…
しかし、兄弟子にはほのかな恋心を抱きつつも、自分の刺繍の腕に
「嫉妬」されていることも何気に感じてもいた。
そして兄弟子が他の女との結婚を機に独立、今に至る…
そんな経歴を元に「もったいないねえ」と言われつつも
結婚よりも仕事を優先し今に至る。


なぜか、今の時代の「結婚よりも仕事に生きるっていうことは
こういうことなんだ。」と身につまされるというかなんというか…
それこそ先日書いた「婚活千本ノック」の様に「結婚したい」と漠然に
思っているだけでいざ結婚の話を出るとしり込みし、それどころか
自ら破談に持ち込んでいる人の方が多そうで。
「自分の足で立って、生きていく」ってことは今の時代よりさらに
女の地位が低かった時代にこうやって手に技術を持ってなんとか
生き延びて行ったのかなあ…と。
まあ、実際はこの時代だとこんな風に女が一人で生きていくのは
不可能だったのでは?と時代考証をしたらありえない話なんだろうな。
その一方で、この咲の「話し方」があまりにも「一井の町人」の
話方とは思えず、むしろ芸者上がりの30を大きく超えた
「大年増」の風格がありすぎて超違和感があり過ぎ!!!
いくら「行かず後家」であっても26歳、独身。
こんなにポンポンというのは「姐さん」その物。


題名の「しろとましろ」は双子の子ども。
なんとなく稲荷神社に居る狛狐の化身かな???と
想像がつくのですがこの作品ではまだ正体が判明せず、
また同じように双子に翻弄される簪職人の「修次」との仲はいかに?
って感じで「待て、次号!」状態で終わる。