イマジン・ノート 槇村さとる
- イマジン・ノート (集英社文庫)
- 集英社
- 本
作者のデビュー時から本書出版までに書かれた作品を振り返りつつ、
この作品を書いた当時は…と明るく健康的に振り返る自叙伝かと思いきや、
生い立ちの超重たい話題を赤裸々に語ってくれてます。
(父親による性的被害などよく書いたなあ…とびっくり)
端から見ると売れっ子でこの本より後に出版している美容系のエッセイだと
ブランド品を身に着け高級エステに通いどこか「金持ちだからね…」と
妬みを買いそうな内容が多いのですが、その元となる「仕事」が
何のことない自分が受けた傷を癒すための手段だったとは…
「描いていると全てを忘れられる」
描くことこそが自浄行為、自浄効果。
それを知ったときに何とも言えない悲しい気持ちになった。
父親から独立したかった。少しでも自分で稼いで自立したかった。
そんな叫びが仕事三昧、仕事が趣味生きがいへと彼女を駆り立てたのだろう。
そして35歳のある夜、一人自問を繰り返し「自己の再生」を誓う。
37歳の大みそか、父親その他が集まったときに爆弾を落とした彼女。
「あんたのいやらしい行動で、私は傷ついた。私はあんたを軽蔑する」
と言葉を放った彼女に対して父親の返答が
「覚えてない」
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
加害者は忘れている。被害者は覚えている。
父親と言う立場であっても中身は思いっきりオコチャマでした、
と言う絶望感。
そこから彼女はどんどん自分を取り戻していく。
前向きな好戦的な人、そんなイメージが彼女にピッタリだと思った。
このブログへのコメントはmuragonユーザー限定です。