Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

観(かん) 永田ガラ

観―KAN (メディアワークス文庫)
観―KAN (メディアワークス文庫)
アスキーメディアワークス

ひゃっほ~い!久しぶりに読み応えのある面白い一冊だった!!
ラノベには違いないのですが、マンガだと青年誌、
アニメ化するなら深夜帯ってぐらい「規制」があると思います。
で、もしアニメ化するならオコチャマ向きの絵ではなく
色気も狂気も凄味も表現できる絵でなおかつそれらを表現できる
一流の声優にお願いしたい。
昔のアニメの声優さんは声に特徴があって声だけで
「これは××さん」と聞き分けられたのに、今のちゃちなアニメの
声優は「みんな一緒、特徴なし!」ばかり。
声に艶のあるできたら舞台経験のある役者にやってもらいたいぐらい。


てなわけで、時代は「南北朝」「室町」。
歴史の教科書だと見開き一ページで片付けられてしまう、
記憶に薄~い時代。
けれど「人間生と死の紙一重!」の緊張感と共に野望とか
そのたもろもろの「生命力」を感じさせる時代だったのでは?
作者さんは大学&院で中世~近世日本史を勉強されたということから
確かな時代背景を元に「エンターテインメント」をうまくとりいれて
いい感じに仕上げていると思う。
そして主人公は能楽の大成者「観阿弥」。
この本ではまだ「観阿弥」と言う名前も何も出てきませんが
彼が足利尊氏の前で「舞う!」と夢見たことから始まるストーリー。


ラノベの縛りもあまり活用されていない(一応ロリ対策として
幼女は出てくるがそんな妄想を抱かせるようなタマじゃない)し、
書きたいものを描く!と新人さんの特徴の生き生きさと
何よりも文章がしっかりしていてこれも「一般誌小説で行けたのに…」と
残念な気持ち。
2作目もこのキレと時代感を感じさせる空気感を踏襲しつつ、
さらなるダイナミックな展開を期待したいです!!!


ラノベのよくある「ヘタレ、優しいけど自分からは動かない、特徴が無い主人公。
意味なくロリコンやメガネ、メイドが出てくる、女は髪の毛長い、
おとなしいが芯はしっかり」と言った設定&内容がコピペのコピペの
どこにでもあるタイプとは違っていて本当に目新しく感じました。
まあ、その内似たような感じでコピペされたものが出てくるとは思いますが。