Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

舞王(まいおう) 永田ガラ

舞王 -MAIOH-<舞王> (メディアワークス文庫)
舞王 -MAIOH-<舞王> (メディアワークス文庫)
KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
2017-03-30
Kindle本

前作の「観」に比べて穏やかな内容。
というか前作は主人公がぎらぎらした欲望に満ち溢れていて
(という多分作者が書きたくて表現したくてしょうがなかったのかも)
疾走感やエネルギッシュ過ぎた。


一方こちらは「犬王」と言われた人の少年期。(知らない…汗)
どちらかと言えば「尊氏の前で舞う!!」と幼き頃から舞に親しんでいた
「観阿弥」とは違い戦災孤児として人の骸から衣服をはぎ取って生計を立てていた
「犬弥」少年。
むしろ「舞い」とは無縁の境遇だったのに、何かに導かれるかのように
その道に進む。
「俺は侍になりたいんだ!!強い者になりたいんだ!
芸人の様に弱きものなんかなりたくない!!」と思っていたのに。
しかしそれは

とりあえずは、与えられた場所で認められることだ。

好むと好まざるにかかわらず。

高崎平吾の言葉が重みをもつ。


自分探しの話、ですかね。
犬弥に向けられた言葉ではなくなんとなく読者に向けてのメッセージのような
気がしたのは気のせい??


さて2作目。
一作目の「書きたいんだ!!」と言う荒々しさは鳴りを潜め
「じゃ、慣れたところで…」と担当に言われたかどうかは知りませんが
ラノベのお約束を文章に反映するかのように「茶色いふわふわした髪の少女」
が登場します。



この時代にこんな「毛唐いね~よ!」と作者が突っ込みながらも
従わざるを得なかったような妙に違和感大!な描写。
時代劇に電柱や腕時計が写る、あの違和感ですね~~~笑
「この業界で書いていきたかったら、
永遠の(クソ)童貞(ども)様に気に入られる造形描写をきっちりすること!」
と言われていそうだな。
ある意味、もっと雰囲気・視点を変えてこの物語を書いたらBLでも行けそうだなあ…
と思ったり。
京大の院まで出て、教養たっぷりだと思われる作者さん。
お気の毒に正統派の教養がゆがんだ欲望・性欲の犠牲になっている感があり。
まさに「与えられた場所で認められることだ。好むと好まざるにかかわらず。」
これってご自身に言い聞かせた言葉なのかなあ…