Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

美都(みと)で恋めぐり 北夏輝

美都で恋めぐり (講談社文庫)
美都で恋めぐり (講談社文庫)
講談社
2015-05-08
Kindle本


前回の「狐シリーズ」の続編かと思っていたのですが、
全くの別物でした。


さてこの本、昨日のうちに読み終えていたのですが、読後直後に感想を書くと
これまた感情のままに怒りをぶちまけた挙句、感情論に突っ走り
それを読んだ「繊細な人」が「これってどういうこと!!!説明して!!」と
カミツキガメになりそうなので一応一晩寝かせました。
以下書くことはこの本と作者に対してであり、もしこのブログを読んだ人が
「もしかしてこれって私に対する嫌味?!」とか取らないでほしいです。
って、いちいち注釈付けないといけないぐらいネットの世界は「繊細な人」
が多いんですね…
そもそも金をとって書いている文章でもなく、ただの素人が備忘録代わりに
書いているブログの文章にいちいち目くじら立ててコメントを書いてくる方が
どうかと思うのですが。
基本、読者数が圧倒的に少ない個人ブログの書き手がその数少ない人の為に
「ここがこうでどうでだから面白くなかった」と細かい注釈並みに
書かないといけないんですか?ブログって???????
ああ、本当にめんどくさい。
そんなに四方八方読む人の趣味趣向に合せたブログをみなさん書いているわけ?
数少ない読者の気に入る文章を心がけないといけないわけ?
そんな事気にしていたら自分の本音も書けない、
ただの文字通りの平坦な日記になると思うのですが。
感情の整理とかぶちまけとか全く無いただの平坦な感動もその人自身も全く
見えてこない文章を読んで何が面白いんですか?


と言うわけで以下は書くことによってお金を得ている人が書いた文章に対する
感想です。


前回読んだ「狐」と全くパターンが同じ。
前回が「奈良ガイドブック」としたら今回は「大阪、京都ガイドブック」。
とはいえ、ガイドブックにしてもかなりの低レベル。
前回は生まれた年数同様に彼氏なしに対して、今回はとりあえず高校時代から
付きあっている「彼氏」がいる。
が、読んでいて「この主人公の性格で、男が繋ぎ止めれるわけがない」と
思っていたら案の定、振られる。(ざま~)
この人の書く主人公の女、ホント魅力に乏しくてねえ…
性格も明るくも無く、気が利くでもなく、トコトンどこにでもいるお勉強はできるかも
しれないけど地味で存在感の薄い、真面目かもしれないけど面白みに超欠けるそんな
タイプで。
まあ、新学期になって知り合いもいない、ボッチはイヤだから「とりあえず」
こんな子でもいないよりはマシ!って感覚でつき合うタイプの子。
だから「彼氏いるもん!」と言っているけど読んでいる側にしたら
「男にしたら『全くいないより、こんな奴でもいる方がマシ!』って感覚だろうな」と
読めちゃう。実際、遠距離になって「他に好きなヤツできたから」と素敵に振られ、
こんないい加減な男に見栄えのいい彼女ができても今度は男が捨てられるだろうな、
とこれまた先が読めてまさにその通りになるという…
浅い…
あまりにも展開が浅い…
先が読め過ぎて、ちっとも面白くない。
更に、この作者が書く話と言うのは要はそばにいる男にすぐ好意を抱く。
で、その男はいわゆるイケメンだが性格が超悪い。
だから、女が相手にせずに余っていると言っても過言ではない。
ある意味「ああ、お似合いね!(=変人同士)」と祝福されるタイプ。
もう少し、普通の人が好きな人なら選ばないよなあ…って感じで。
よく、日本人女性が海外に留学した途端「もてて」(と勘違いして)
遊ばれて捨てられて下手すると殺されて…と言うパターンに似ている。
本当に好きじゃないの。ただ都合よくそこに居たから相手にしただけ。
分かれよ。これだから頭でっかちの人が書いた本は…って感じ。


主人公に全く魅力を感じないのになぜこの男は好きになる?と2作を読んで
本当に不思議。この女のどこに惚れる?魅かれる?はあ??
何このご都合主義の塊本!


また、この作者の非常識ぶりがいかんなく発揮されているのが
他人に対するお礼とか感謝が全く見えてこずに話が進む。
前作では池におちてずぶぬれになって他人さんに迷惑かけているのに
後日お礼に行った描写も無くまたそこは割愛したと考えるにはあまりも
「しないだろうな、頭にも浮かんでいないだろうなあ…」の方が
透けて見えてしまう行動描写。
今回はあらすじとして某地方の地元の大学を落ちてかろうじて受かった
関西の私立大学に進学することになったので家族に「せめて一浪…」と
言ったものの却下。
母親が「関西には30代の私の従弟がいるから大丈夫よ!」と妙な太鼓判を
押して送り出す。娘にしたら「初めて関西に親戚がいることを知る」と言う
事は年賀状のやり取りもしていないぐらい未知なる存在!!
そんな相手に「お世話になります」とそれこそ引っ越し
(下宿探しをするでしょうに、進学が決まった3月にはふつ~
それとも本当に後期も全く駄目の4月ぎりぎり?????)
と同時に挨拶をすべきだと私の「常識」では思うのですが、
この作者とその分身である主人公は4月の半ばに
相手さんから「タコパするからどうぞ」と誘われてやっと
「初めまして」の挨拶をするという…
いや~ありえないけど。
母親も娘に一言言うべきでは?と疑問を持ってしまうところからも
この母親も相当非常識。まあ、親子だからね。
私なら親戚の子が引っ越してくるって連絡貰ったら
「いつ来るの?いつ来るの?」と待った挙句4月も中旬だったら
「ま~よく来たわね~忙しいのに、わざわざ時間を作って会いに来てくれるなんて~~」と京都人顔負けの嫌味を言うだろうな。顔は満面の笑みと共に…笑
内心は「もっとはよ来こんかい!!!!このくそボケドブス女!!」レベルですけど。


で、本作における更なるジェネレーションギャップに近い違和感。
母親の従弟なんで「従叔父(いとこおじ)」と言う立場の男性に対して
彼が他人から「黒衣(くろこ)」と呼ばれているので主人公も叔父さんに対してというか
文中最後から最後まで描写として「黒衣」と表記。
年上に対してそれあり???
叔父さんとか黒衣叔父、黒衣殿などもう少し何とかなりませんか?と思った。
平等な立場で知り合ってそう呼ぶのならまだしも。
やっぱり黒衣叔父、が妥当では?
他にも50代の大学教授の「殿下」も殿下のまんま。
殿下さん、ぐらい付けろよ!!とその表記にイラっと。


20代30代の子が書いた本って、経験が乏しいからその乏しい経験を
飴を水で伸ばすかのようにして作品を作るから底が浅く感動も何もしない。
だって、読み手の方が経験値が高いから、その経験以下の文章を読むのは苦痛。
ラノベ作家でも2作目にはもう少し変化や上達が見られることがあるのに、
この作家は一般小説なのにその片鱗も見当たらない。
どこまでも自己完結。自分の世界の頭の中で物語を書いているから感動も
印象も残らない。
展開そのものが一昔前の少女マンガそのもの。
もしかして母親が捨てれずに持っているまんがを子供のころから愛読していて
「恋愛ってこういうもの!」と思いこんでいるのではとすら思う。
どじっこがなぜかイケメンと恋に落ちる系というか…
それも王道ですが今ならもう少し「障害」があってそれを乗り越える部分に
読者は共感と応援の気持ちを持つのだと思いますが、この作者に関しては
全く底の部分が無く。
ただただご都合主義的に主人公は何の努力もすることなく、彼氏を
getするのであった…はあ…つまらない。


後二冊、この作家の本(狐シリーズ)あるけれど、読むのはどうかなあ。
カンニングして密林レビューを見たら案の定の評価だし。
だろうなあ…
この作家好き!って言う人いるの?