Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

信長の茶会 永田ガラ

信長の茶会 (メディアワークス文庫)
信長の茶会 (メディアワークス文庫)
アスキーメディアワークス
2011-03-25

いきなり信長と信長を殺した張本人の光秀=十兵衛の口げんかから
始まります。笑
そう、死んだはずと言うより殺し殺されたと言うあんまり
うれしくない関係でありながら生前は実はこんな風に
気安い口げんかをしていたのでは?と妙にほっこりするような
口調が「どうしてあんなことに…」と残念感を漂わせます。
とはいえ、本編一種の「タイプリープ」的手法によって
話が進みます。正直、よくわからなく…
大名および大商人がこぞって「茶会」をした陰には
要は「金銭」が絡みついていたという解釈。
こうやって先日まで読んでいた本にも絵師が出てきて、
本作でも狩野派の絵師が登場するのですが、
作家自身がこの時代の知識を専門に持つ者と
作者が参考文献を必死に読み込んで適当にコピペして書くものとでは
格とか重みが違うなとひしひしと感じられます。
その時代を自分の物にしたうえでエンターティンメントとして
自分の解釈を盛り込んで一つの「物語」として成り立っているものと
底が浅くて…としか言いようが無く。
例えラノベのくくりとはいえ、
横並びにされたら優劣がはっきりするなあ…そんな感じ。


また、この作家さん前作の「観世阿弥」を主題にした時も
そうですがラノベのお約束事項を素敵にスルーして(笑)
本作では「平安美人」や「犬」の方を選択していることに
妙にうれしくなってしまう。
売り出すためにはその時代には主流ではなかったと思う二重、
茶髪、そして猫をどこかに織り交ぜることを言われているのか
不自然な描写が多いラノベの中で一人反抗するかのような
描写が好きです。


ただ、冒頭の二人の軽妙な会話とは裏腹に終わり方が微妙で
「え?話が変わっちゃった?収拾付けれなくなった?」と言う
残念感もあったのは確か。
ここをもっとうまく処理してほしかったなあ…