読書日記ときどき愚痴日記

読書感想を模した毒満載の日記。
普段は西郷どん=夫 に連れられた「犬」
ですが、気に入らないことがあると
一瞬にして「ケルべロス」に変身します。
特に「不倫&W不倫」ネタはケルべロスの
格好の餌食なので該当される方はご注意を。

思い出をなくした男 鏑木蓮著

思い出をなくした男
思い出をなくした男
著者:鏑木 蓮
出版社:PHP研究所
カテゴリー:本

本来なら一人の作家を集中して読む時に、書かれた年代順に読むのですが(その方がその作家の成長ぶりがよくわかるので)今回は先に読んだ『思い出探偵』の続編が借りれたので先に読んだ。
(そうしないと前回までの内容とか流れを忘れちゃうので…)


正直、ちょっと残念感ありの読後感。
このシリーズって「その物を通じて、形にならない人の思いやその背景に思いを託す」探偵の話だったのが今回はただのありふれた人探しになっている。
それって、既存の探偵ものとどう違うの?って感じで。
まあしいて言えば、探偵をしている人たちの成長ストーリーとしての側面は持ち合わせているものの
全編になんていうか「嫉妬」とか「エゴ」が満ち満ちており前回のハートウオーミングなテイストとはかなり違う。
とはいえ、ハートウオーミングばかりだと今度は「メルヘン過ぎる」と私みたいに毒吐きが文句をつけるので多少アレンジしたのかもしれないが…


まあこれだけ探偵側が人とまともな人間関係を構築できない人ばかりな上、コマシだった「雄高」君が役者に専念してしまってもうガタガタだし。
心に傷やよこしまな気持ちがある人たちが表面は「仲良しこよしの家族ごっこ」の雰囲気の職場で今後うまくやっていけるかちょっと問題。
特に由美の浩二郎に対する恋心は一悶着として居座るし。
これがドラマ化するとしたらあっさり由美の気持ちはカット!ってなるんだろうなあ…
どこまでもハートウオーミングドラマとして成立させるためにはそんな「ドロドロ感情」を忍ばせるわけにはいかない。
なのでいっそのこと由美に惚れている「茶川」を60代のおっさんから50代のおじさんに変更して、
こちらで恋愛感情が成立するようにした方がきれいだし。
実際この茶川さんの存在なしではこの探偵業何一つとして解決しないと言っていいほどのキーパーソンをいつまでもかわいそうなおっさん状態にしておくのはどうかと。
ドラマだと視聴率を狙って若手俳優を起用してそのフアン層を取り込むとしたら佳菜と真をくっつける展開したらわかりやすいし。
とまあ、原作の人間関係だとちょっと重たすぎてと言うかあまりにも人間味がありすぎて成立しないんですよねえ…


まあ、面白いと言ったら面白いんだけど前作の「優しい字を書く男」だったっけ?一作目が一番個人的には良かったなあ…と思ってます。

思い出探偵 鏑木蓮著

思い出探偵
思い出探偵
著者:鏑木 蓮
出版社:PHP研究所
発売日:2013-07-17
カテゴリー:本

出版社をPHPに変更したせいか、作風もそこに見合った風に変化。
元々「江戸川乱歩賞」と言った重たい肩書があって、それに見合った作風、作品しか発表できない土壌があったのかもしれないが、本作のように「人が死なない」(間接的には亡くなっていてそれがトラウマになっている人もいるが…)いわば「日常の謎」をうまくサスペンス風にアレンジしてある。
他の人から見たらただの「ゴミ」程度でしかない認識の物を「大切なもの」として脇によけておいてあげるその優しさをうまく形にしているなあ、と。
P51『「どうしてあのペンダントが大切なものだと思われたのですか。」
「それは中身が、あまりに粗末なものだったからですよ」
「粗末だったから?」
「凡夫の私にはそう見えた。しかし裏を返せばお金では測れない価値があるからペンダントトップにしてあるということです。
お金で測れないとなると、その人の心で計られた価値がある。
心より大事なものは、この世にはありませんから。場合によっては命よりも」』


穏やかにけれど各自の心の中にはいろんな葛藤が渦巻いている。
その葛藤を表に出さないように、和を乱さないように。
けれど優しさは時によって一層人を傷つけるものであるのだが…
シリーズになるとしたらここの「お互いの気持ち」がどう変化して処理していくかが問題だなあ…


それにしてもこの人の作風は妙に登場人物が「年を取っている感じがする」んですが…
探偵長(?)の浩二郎にしても45歳。しかし全体から伝わってくる雰囲気がどうも60を超えた定年を迎えた人のように感じる。
本作で出てくる「人探し」にしても皆妙に長生き!(笑)
そんなにうまく次から次へと手掛かりがあるものか???と若干「メルヘン」が入っている気がしないでもないけど読後感がいいから良しとする!