Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

まんまこと 畠中恵

まんまこと (文春文庫)
まんまこと (文春文庫)
文藝春秋

この作家さんは自分の手に余る時代を書くよりも
自分の得意な時代物に特化した方が宜しいかと。

若様組まいる (講談社文庫)
若様組まいる (講談社文庫)
講談社
2013-07-12


これ以上、書かない方がいいと思うタイプ。



さて本作、高橋麻之助は8つの街を支配町とした名主の息子。
16歳までは生真面目で勤勉なので期待を一身に集めていたのに、
16歳のある日を境にごろっと大層「お気楽な」若者に化けてしまった…



「化けた」理由は話が進むにつれて読者には「もしかして…」と
示唆されているので予想はつき、最終話ではっきりと提示されている。
ネタバレさせると麻之助には2歳年上の「幼馴染」の女性に思いを寄せいていた。
が、ある日神社に呼び出され彼女が「結婚する」と。
しかも「お腹には結婚相手とは違う父親の子供」がいる。
また、結婚相手は麻之助の悪友の父親。つまりかなり年齢の離れた間柄での結婚。
大人の間の取り決めでおじさんはすべてを飲んで彼女を迎える覚悟がある。
一方、彼女から手を差し出されて「では、あなたが私を貰ってくれる?」と
問われればたかだが16歳の扶養の身。
手に手を取って出奔したところで行き詰まることは目に見えている…
逡巡しているうちに彼女は何も言わずに立ち去った後。
後悔するべくはあの日なぜあの人の手を取らなかったのか。
若過ぎ、力不足の己を悔いる日々…
そして、ついに自身が嫁を取ったその数日後に、おじさんは亡くなる…
想い続けていた人が「独身」になる日が皮肉も自身が「既婚者」になっていたとは。
もし結婚していなければ、あの人ともう一度…


と、キレイにまとめればこんな話。
いわゆる「タイミング」さえ合っていれば、運命は変わっていたのかも系。
あの時どうしてこうしていなかったのか…とまさか本当に
自分がこのタイミングでこの手の話を読むとはね~まさに皮肉。笑
人生なかなか自分の思うようにはいきませんね、と肩をたたかれた気分。
シリーズものです。