Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

NINPU TALK with LiLy    LiLy著

NINPU TALK with LiLy (角川文庫)
NINPU TALK with LiLy (角川文庫)
KADOKAWA/角川書店
2016-01-23

sexしたらそりゃ結果として妊娠しますわな、ってことで
妊娠から出産までのドタバタ「祭り」。
ハッキリ言って初めはかなりの浮かれっぷりのハイテンションに
うんざり&引きます。
「妊娠ってこんなに祭りモードだったっけ?」と25年前の一昔の記憶ゆえ
「…」って感じでした。(2011年に発行されて2016年に文庫化)
最終的にはあれほど浮かれていた出産ですが、陣痛の痛みゆえにもはや浮かれていた
あの時の自分のばかああああああ~と懺悔しながらの出産シーンは妙に笑えます。
確かに出産は自分が思い描いていた通りにならない事ばかり。
予定日に陣痛が来て、テンポよく子宮口が開いて、問題なくポンと生まれて
はい、感動のご対面!!!となることの方が稀。
ここに書かれているように「まさかの!!!」の連続。
そしてそのどれもが「正解」ではなくそして「不正解」でもなく。
その人、その人すべてに与えられた「運命」。
ぶっちゃけ、私だってこれだけ「でっちり」だから「安産よ!」なんて
周囲も自分も思っていたのに、予定日から2週間近く過ぎても長男の
頭が骨盤に収まることなく挙句の果て「羊水が濁ってきましたらから…」と
いきなりの帝王切開…
(いきなりだったので朝食を食べており、手術台に乗っかった途端、吐いた…)
で、事あるごとに(高校生になっても…)母子手帳を持参しての予防接種のたびに
「出産は正常、異常」と問診票で聞かれ(○を入れさせられる)、
「異常」に丸を入れた後、帝王切開と注釈を入れるのが本当に苦痛だった。
(中学生ぐらいになると要領かまして「正常」に丸を入れてました。
だって、自慢したくなるぐらい正常な息子たちだもの)


p149

「帝王切開で子供を産んだ人ってよく『私は産むのは経験できなくて』

なんて謙遜したりするけど、どう考えたって立派に産んでるじゃない!

私が言いたいのはね、出産する時に声をかみ殺したのすごいでしょ!

とか、私は大声で叫んでいたのよドラマチックでしょ、とか色々

言う人いるけどさー、結局、全員が全員、最高潮にスゴイのよっ!」



これ、私、言ってほしかった言葉かもしれない。
姑に「私はね、3回いきんだらすぽ~んって出たわ」って
言われた日には…涙


p93

「たぶんさ、妊娠と出産ってそんなに何度も経験するもんじゃないじゃない?

特に今、少子化で一人っ子も多いし。

だから、ついつい”自分の体験=妊娠出産とはこういうもの”

って言う思い込みがちなんじゃないかな。

ほら、いろんな男と付きあうと、相手によって色々だってこと、

身をもって知るじゃない。

だから”付きあうってこういうこと!”みたいに断言する人いないじゃん。

いても、胡散臭いっていうか。

多分、人それぞれ違う部分も大きいと思うよ。妊娠出産も

恋愛とかsexとかと同じで」





チャラけたような文章なのに、妙に人を惹きつけます。LiLyさんの文章。
それはきっとチャラけた中にも「真実」がちゃんと含まれた文章だから
だと思います。
そして何より「誰も悪くない」じゃないけど傷つけないように配慮された
文章が共感を呼ぶのだと思う。


p.s


自然分娩万歳!みたいな風潮があった当時、次は「自然分娩で!」と
思い込んだ結果「マタニティヨガ」に参加しましたが、どうも先生と
ホント相性悪すぎでヨガがストレスの元!!!!でした。
なので、本文中も「ヨガいいわよ~」と一人が勧めるシーンがありますが
私は「先生次第だな…」と冷めて読みました。
こんな風に「先輩」の言うことがすべて正しいわけじゃないから
あまり鵜呑みにせずに「まあ、そういう選択もあるわけで…」と
自分に合うか合わないかに基準を持つことを先輩風を吹かすなら
そう言いますね。
あなたのやりたいようにやればいいのよ、と。
むしろ「理想の出産」を描きすぎる方がそうでなかった場合に
ダメージが大きいから。
全てマニュアル通りに行かないのか出産&育児。
平常心、平常心。


この言葉を「嫁」に言える日が来ることを…