新カラマーゾフの兄弟 上巻 亀山郁夫著
- 新カラマーゾフの兄弟 上(上・下2巻)
- 河出書房新社
- 本
内容紹介
「カラマーゾフの兄弟」は未完だった……。
ミリオンセラーの翻訳者が、「世界文学最高作」と言われる傑作を
19世紀ロシアから現代日本に舞台を移し完結させた、
桁はずれの著者初小説。
ドストエフスキーとの驚愕のコラボレーションから生まれた、
ノンストップ・ミステリー巨篇。
先日まで読んでいたドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を
翻訳した人が書いた本。
舞台を日本に、時代を1995年ごろに移行してのアレンジ。
とはいうものの文体がことごとく
「~だった。」「~だった。」「~だった。」の羅列…
単調すぎて正直、うんざり。
この部分からも
「この人は翻訳者、もしくは学者であって小説家ではない」と言うことがわかる。
また、自分は「翻訳した!!」と言うことが自慢なんだろうな、
それ以上に「自分以外にドストエフスキーを理解している人間はいない!!!」
とばかりの「ドヤ顔」ぽいものが妙に感じられてまたまたうんざり。
小説は学問と違って読み手にすべてをゆだねるものであって
作者が「これが正解!」とばかりに「答えの限定」をするのはどうかと思う。
そこのところの「住み分け」というか「違い」をこの亀山と言う人は
どこまでわかっているのだろうか?
一言「妄想、乙!!!」って感じの上巻。
さて、これを「良かった、面白かった」と言う感想を
持たせてくれるのか?下巻は。
原作の翻訳も面白くなくて睡魔を誘う一冊だったが、
これも負けず劣らずの無駄な描写が多すぎ!!
原作に添わせようとするからゆがみが出る。
しかも原作を真似ようと『わが主人公、黒木リョウが…』って
始まる『作者より』を読んだ時は「何これ?パロディ?」と
思うぐらい笑っちゃった。
「わが主人公」と言うフレーズは作中数回出てくる。
自分に酔ってませんか?
むしろ原作では一冊目(初めの部分)であれほど散々
フョードルの「ウザさ」が前面に押し出されていたので
「これだけウザかったら殺したくもなるよな」と読者に思わせていたのに
肝心のその部分が無くむしろ「ダンディな男」ぽい描写になっていて
「殺す必要、あるの??」と言う感じ。
昔流行ったシドニィシェルダン
- 真夜中は別の顔〈上〉
- アカデミー出版
- 本
の「超訳」みたいに
訳した物をさらに小説としての文章力がある人にリライトさせないと
「カラマーゾフの兄弟」はやっぱり「面白くない本」としか評価されない気がする。
このブログへのコメントはmuragonユーザー限定です。