Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

烏丸ルヴォワール 円居挽

烏丸ルヴォワール (講談社文庫)
烏丸ルヴォワール (講談社文庫)
講談社
2013-10-16

一言で言えば「あ、読みやすくなったな」と言う感想。
前作が「同人誌」レベルの独りよがり、自己完結文章だったのが、
今回は商業レベルとして通じるものになったな、と言う感じ。
やっぱり頭のいいひとなのか、我流で料理を作っている人に
「一度これに目を通して」と料理の基礎本を渡したら
次からちゃんと小さじ1とか分量をきちんと計算した
ものを作り上げてきた…みたいな。
ただ、レシピ通りの料理はそれなりにおいしいのだけれど
どこか個性が無くなる、のも事実で。
前作『丸太町』でみせた荒削りで読みにくい文章だけれど、
個性的で異彩を放っていた部分が削り取られてそこが残念。
作家にしたら「どないせいちゅーねん!!!怒」って感じでしょうが。


この辺りのさじ加減がホント難しいんだろうなあ…
個性を消すと面白みに欠け、個性を出すと読みにくい。


実際、後発で出した作品が中途半端な状態になって
私だけでなくアマゾ×での評価もひどいのを見れば
「ああ、空中分解しかけてる…」と実感する。



一方、本作に関しては少年漫画にありがちな「新たなる敵」も登場し
加えて基本である「君は独りじゃない」も盛り込み、
それ以上にキャラ立ちが非常に上手いと思う。
そして何よりもラノベを読んでいて常々不思議だった
「妙齢の男女が登場するのになぜここまで恋愛モードを
不自然なほどcutするのだろう?」と言う謎を
本作ではちゃんとカバーして、
自然な人間の感情も盛り込んであるところが高評価。笑