Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

河原町ルヴォワール 円居挽

河原町ルヴォワール (講談社文庫)
河原町ルヴォワール (講談社文庫)
講談社
2015-10-09
Kindle本

シリーズ最終巻。第一印象は「先の三冊よりも本の厚さが薄い…」。笑
「起承転結」のまさに「結」部分だなあ…と思わせるほどの
「起」が祖父殺しの犯人はいかに?から始まったように思わせておいて
実は「ルージュ」と言う謎の女は一体だれ?と言う問題に
いつの間にかすり替わるという「どんでん返しの連続」を主と
して話が進んでいたので、それらの伏線をすべて回収するかのような
締めくくり。
どんでん返し過ぎるので下手な事書けないから歯切れ悪いよね、この感想。


さて。
現実では「真実はいつも一つ!!」が頭に刷り込まれていて、
それが「当たり前」だと思って生活している。
10人人を殺したらそいつが犯人。そいつが裁かれ刑を言い渡される。
ところが、このシリーズでは「真犯人はだれか?」ではなく
周りを納得させるような理由が述べれたら=周りが楽しめたら
それが「勝ち」と言う歪んだ「私的裁判」が行われる。
元々「貴族の間で流行った…」と言う設定なので、
突き詰めれば退屈し切っている貴族を
「いかに楽しませるか」を念頭に置いた裁判だとすればそれも納得。
10人殺したのではなく、10人とも死ぬ理由があった…と言葉巧みに
死んだ側が悪い…と周囲に思わせるその弁護士の「弁」の技量によって
無罪、有罪が決まってしまう恐ろしさ。
麻雀が「運」が左右するゲームと言う特性を知っているからこそ
こんな筋書きも作れたのかな?とすら思った。


今回も「解説」の中にこの作者の「癖」みたいなものが書かれており、
それを読むとその「癖」の出かた次第で「面白かった」「糞」の
賛否に分かれるんだな、と思った次第。