Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

逢魔 唯川恵

逢魔
逢魔
新潮社

自分にとっての唯川さんは「OL物」であり「働く女VS専業主婦」
「独身VS結婚」と言った女の一大決心物だった気がする。
当時二者択一で今の様に選択肢が果てしなくあったわけではなく
「さあ、どちらを選ぶ?」と決断を迫られていて
「焦り」しかなかったような気がする。
裏返すと「if」でしかなく、もしあの時こちらを選んでいたら彼女は私、
私が彼女だったのかもしれない…と痛みさえ伴って読んでいた気がする。
そんな彼女の作風はいつの間にか「男女」に重点が置かれ
本作では男女の愛憎に焦点が充てられている。
古典、怪談と言ったものをベースに本当にエロスが漂う短編集。
最後の「六条御息所」をベースにした話は想いが狂気となるのは
今の時代も変わらずで「業の深さ」を感じる。
そしてどこまでも「悲しい」…