天山の巫女ソニン3 菅野雪虫
- 天山の巫女ソニン(3) 朱烏の星 (講談社文庫)
- 講談社
- 2014-03-14
- 本
借りた順番の都合で『水族館ガール』と『ソニン』を交互に読む羽目に
なってますが、正直内容の「落差」が半端なく疲れます。笑
さて、本シリーズに出てくる3国の最後の一国「巨山(コザン)」に
自国王子と訪問し、この国のお姫様(宝塚の男役のイメージ)と
合いまみえます。
巫女として「感情を表に表さない」様に訓練されていたソニンが下界(?)に
下りて徐々に「人間らしい感情を取り戻していく」過程が描かれています。
素人の私がグダグダ書くより「解説」でどんぴしゃりな事が
書かれていますのでそちらを引用。p273~
解説 現実よりもリアルなファンタジー
大矢博子(評論家)
初めて読んだ時、これが児童文学として世に出たということに
まず驚いた。
次に読んだ時、これを児童文学として書いた著者の思いが
流れ込んできた。
同時に、児童文学である本書が講談社ノベルズに入り、
そして一般向けの講談社文庫入りした理由が、
手に取るように分かった。(中略)
なるほど、超能力少女の異世界ファンタジーか____と簡単に考えて
貰っては困る。確かに架空世界の話だし、ここぞという場面でソニンの
<夢見>が力を発揮するが、この二つの要素は、実は現実以上にリアルなのだ。
そしてそれこそが、著者が本書を児童小説として世に出した理由であり、児童小説でありながら年代を問わず広い読者から熱烈な支持を受けた理由である。
(中略)
また第二巻に描かれる、介護が必要な家族を持つ者の苦しみには胸を突かれた。
著者はそんなシンプルだけれども大切な社会の仕組みを極めて牧歌的な風俗と、王子や侍女と言ったおとぎ話に衣に包んで差し出す。
現実社会の話ならいろんな事情がまとわりついてストレートには語れない問題を、架空世界だからこそ構造を簡潔にして示すことができるのである。
「なぜ戦争は起きるの?」「どうして隣の国と仲良くできないの?」子どもたちが幼いながらに___________いや、幼いからこそ感じるであろうプリミティブな疑問に、本書はファンタジーと言う手法を使って応えているのだ。
それが、多くの情報にとらわれ過ぎて根源を見つめることを忘れた大人たちにダイレクトに響いた。本書が大人の読者に歓迎された大きな理由の一つである。
なるほど、私が2巻の感想で書いた「戸惑い」は
あながち的はずれではなかった、ということで。
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