Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

うすうす知ってた 田辺聖子

([た]1-6)うすうす知ってた Tanabe Seiko (ポプラ文庫)
([た]1-6)うすうす知ってた Tanabe Seiko (ポプラ文庫)
ポプラ社

田辺聖子の本は高校生あたりから読んでいた気がするけれど
それ程ハマらずにサッと流した程度だった気が…
で、先日の『不倫は家庭の常備薬』を読んで
「これって男女関係、特に夫婦歴10年以上の人ではないと理解できないのでは…」
と思い、それ以上に過去に読んだ田辺聖子の本を実は理解していなかったのか?
と思って一冊棚に残っていたので借りてみた。


時代か…26、28歳の女は「ハイ・ミス」と表現されているあたり…汗
アノラックとか別珍のパンツとか言われても…そんな風に昭和を感じる。


さて、一番理解できなかったのが最後に載っている
『クワタサンとマリ』。
結婚して10年は経つであろう夫婦。子供は無い。しかし夫婦間は
お手伝いさんに言わせると「変わっているとは思わないが、あんまりも
夫婦仲が良すぎるから結婚10年には見えない。その点が変わっている」
と言う評価。
さてある日、自宅にベビーカーと大きな熊のぬいぐるみが配達される。
デパートの誤配、と言うことなので引き取りに来たときに本来の配達される
家の住所を聞き出した妻がその家を訪ねる。
建売の新築一軒家。若い女がオムツを干している。
分譲地を見に来たと勘違いした若い女が
玄関先に案内して「どうぞ、見学して行って」と。
そこにはお昼寝から目が覚めた丸々とした赤ん坊がいて、
その太った腕にはアブラムシの肢がくっついていて、
さらには3,4歳ぐらいの男の子が走り回っている…
その顔はどちらも「夫に似ている」。
そう、要は愛人宅だったのですよ。家も社長である夫が購入。
けれど一番理解できかなったのがこの妻が
「こんな家庭、羨ましい。私も一緒に混ぜて」みたいな感覚でいるところ。
あのゴチャゴチャ感、生活感丸出しのところが心惹かれる!!と。
多分、夫もああいうところが気に入っているのだろうな、と。
実際、夫に「あの家は?」と聞いて
「すまん。けど、君とは別れない。(その一方で愛人とも別れない)」。


いや~無理でしょ~ありえんでしょ~
怒って泣いているのではなく、自分もあの家でできることがあれば…
と言う気持ちで再度、愛人宅に行く。
普通に愛人は「奥さんが来た!!!」ってことで怒る。
そりゃ、怒るわな。
「クワタサンと別れへんで!!!!!」と言われる。
そりゃ、言うわな。
で、エンディングに向かうんですけど、なんじゃそら?って感じで…


あとがきぽいインタビューにご自身で「私は悪人をよう書かんねん」と
あるけれどこれってどうなん???
ちょっと「きれいごと」過ぎませんか?って思ってしまった。
そういう意味では

恋愛小説は「大人の童話」


とあるだけに確かに「童話」だとしたらありだけど、
リアルでは無いわ~~~~としか言いようが無かった。
これ以上は「毒」になるから自粛しますが。