Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

悪女について 有吉佐和子

悪女について (新潮文庫)
悪女について (新潮文庫)
新潮社

どなたかがこの本を「再読する」とお書きだったのを見て
「今時の本で再読したくなるような本って無いよな…」と
興味を持ったので借りてみた。



まああ、なんて面白いの!」


自殺か他殺かわからない一人の女について
インタビュー形式で書かれている。
27人に話を聞いているのに皆その女の印象が見事にバラバラ。
読みはじめは「多重人格者の話?」と思ったぐらい。
本人の語りが無いがために真実は?というか真意はなんだったの?
と言う疑問は残るものの(例えばなぜ八百屋の娘であると言わずに
落しだねぽく語っていたとか)
初めから計画的だったとしたらたった15歳で自分に必要な物と
不要な物を選別していたその先を見る目に驚愕する。


ところでこの女程ひどい印象は無いかもしれないが
人間だれしも「一つの印象」ではないはず。
例えばAさんから見たら私は「明るくて社交的」。
一方Bさんから見たら「無愛想」…etc.
そんな感じでやっぱり関わり方や立場によって人間の印象って
全く違うと思う。
実際殺人事件で「あの人は怨みを買うような人じゃなかった」
と言うインタビューが毎回のように出ますが、
その反面口には出さずとも「殺されて当然!」と思っている人もいるはず。
そんな世の中「いい人」ばっかりだったらこれほどまで殺伐とした
国にはならなかったと思う。
そんなことを思いながら「人の印象」について考えさせられた一冊。