Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

西の善き魔女4 世界のかなたの森 荻原規子

西の善き魔女4 世界のかなたの森 (角川文庫)
西の善き魔女4 世界のかなたの森 (角川文庫)
KADOKAWA/角川書店

え~っと…この本、一体何のジャンル?そして一体どの方向を目指しているの??
戸惑いの方が大きすぎる4巻の読書感。
まず若様が竜退治に行きます。(この竜は今で言う『恐竜』をイメージしていただけたら)
それを助けるという名目で追従するヒロイン…のはずがどう読んでもこの行動の端々に


「お前は『八百屋お七』か!!!!!!」


と言いそうになる。←この例えから私のヒロインへの気持ちをご理解下さい


10代の読者なら「恋は盲目」の生き方も許されるかもしれませんが、50代の女が
この手を読んでしまうと「自分さえよかったらいいのか?」と激しく非難してしまう。
それこそ「お七」なら本人の火あぶりの刑は当然の事、実家の店も畳まざるを得ないし使用人も路頭に迷う…それだけ人に迷惑をかけることになっても突き進むのか?って感じで。


そんな自己中心・我儘・感情的・直情的・全く学習しない、言い換えれば「子供そのもの」なヒロインにその相手である根暗なヒーローが再登場。
「壁」というものを探しに旅に出て「壁」を見つけたものの今度は
「え?タイムトンネル?タイムワープ?」というトンデモSF要素満載の展開に…
「時渡(ときわたり)」をイメージさせる「吟遊詩人」も出てきて「女王家」の謎に
近づくのですが…


このシリーズの登場人物は全員「キャラが立ちすぎ」と言っていいほど。
どのキャラを独立させても一つの話ができてしまう位誰一人「オブザーバー」では
いられない暑苦しい個性豊かタイプばかり。
小説の主人公・登場人物だから付き合えるけれど、これがリアルだと「うぜ~」の
一言で距離を取ってしまうだろうなあ…
巻ごとにテイスト・雰囲気が違っており、終着点が全く見えないから読み進めていますが
下手したら空中分解して終わりそうな臭いも無きにしも非ず。
アニメが低評価だったのもこのバラバラな好き放題な展開を一本の筋にまとめきれなかった結果なのかも?と推測中。


因みに表紙のイラストはユニコーンに乗った若様ですが、竜退治にはユニコーンに乗って行くのだとか。また、そのユニコーンも色が様々で白、という定説概念をどこまでも
覆してくれます。