女王様の夜食カフェ マカンマランふたたび 古内一絵
- 女王さまの夜食カフェ - マカン・マラン ふたたび
- 中央公論新社
- 本
第一話 蒸しケーキのトライフル
第二話 梅雨明けの晴れ間の竜田揚げ
第三話 秋の夜長のトルコライス
第四話 冬至の七草うどん
社会人になっても自分の居場所が見つからない
p63
”西村さん、いい人だもんね”
白けたような、未知佳の声が耳朶を打つ。
いい人。いい人。
でも本当は、どうでもいい人_________。
その理由は真奈にもわかる。
「私、自分がないんです」
「家族」ゆえのむつかしさ
p131
裕紀が子供のころから夢中になって読んでいた少年漫画の主人公たちも、ただただ元気なだけではなかった。ちゃんと自分の弱さや醜さと、正面から向かい合っていた。
だからこそ、あんなにも、心を動かされたのだ。
そして母親の言いなりで育ってきた娘が自分の子供が発達障害だと知った時に
p203
「私、がんばってきたんです」
子どもの為によかれと思ったことを、全力でやってきた。
100パーセント、否、それ以上に、がんばってきたのに。
「でも、もう、これ以上、どうやって頑張っていいのかわかりません…」(中略)
「じゃあ、もう、がんばらなくていいんじゃないかしら」
p254
「親の心、子知らずだな」
思わず憤慨すれば、しんみりした声が響く。
「子の心、親知らずという事だってあります…」
新顔の奥様風の女性が、そっと下を向いていた。(中略)
「親子って難しいのよ。一番近くにいる他人ですもの」
「孤独」
たった一人でいることは「孤独」なのは仕方ないけれど
集団に属していても、家族と一緒に住んでいてもどこか「孤独」
そんな風に感じている人たちが温かい光に誘われて夜食カフェ「マカン・マラン」を
訪れるのかもしれない
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