悪女について 有吉佐和子
- 悪女について (新潮文庫)
- 新潮社
- 本
どなたかがこの本を「再読する」とお書きだったのを見て
「今時の本で再読したくなるような本って無いよな…」と
興味を持ったので借りてみた。
「まああ、なんて面白いの!」
自殺か他殺かわからない一人の女について
インタビュー形式で書かれている。
27人に話を聞いているのに皆その女の印象が見事にバラバラ。
読みはじめは「多重人格者の話?」と思ったぐらい。
本人の語りが無いがために真実は?というか真意はなんだったの?
と言う疑問は残るものの(例えばなぜ八百屋の娘であると言わずに
落しだねぽく語っていたとか)
初めから計画的だったとしたらたった15歳で自分に必要な物と
不要な物を選別していたその先を見る目に驚愕する。
ところでこの女程ひどい印象は無いかもしれないが
人間だれしも「一つの印象」ではないはず。
例えばAさんから見たら私は「明るくて社交的」。
一方Bさんから見たら「無愛想」…etc.
そんな感じでやっぱり関わり方や立場によって人間の印象って
全く違うと思う。
実際殺人事件で「あの人は怨みを買うような人じゃなかった」
と言うインタビューが毎回のように出ますが、
その反面口には出さずとも「殺されて当然!」と思っている人もいるはず。
そんな世の中「いい人」ばっかりだったらこれほどまで殺伐とした
国にはならなかったと思う。
そんなことを思いながら「人の印象」について考えさせられた一冊。
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