Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

エクステンド 鏑木蓮

エクステンド
エクステンド
著者:鏑木 蓮
出版社:講談社
カテゴリー:本

3作目にして舞台が警察オンリーとなりました。
やっぱり推理小説を現代を舞台にして描くには「探偵」とかその他の素人さんが活躍するのはやっぱり無理があるのかな?と。
作家さんが京都出身ということからか京都が舞台となります。
とはいえ、あくまでも地理関係と言語だけが京都であり、観光地としての京都としては取り上げられていないので2時間ドラマのように良く知った場所が出てくるわけではありません。
が、京都の詳細な地図を広げて地名を追っていくとマニアック的に「なるほどな」と言う感じ。


題名となったextendを辞書で調べると「広がる、伸びる、延長する、拡大する」と言った意味があります。
読んだ後に改めて題名を考えると「なるほどな」と。
いろんな意味でこのextendが描かれています。


細かい揚げ足取りをすると「私服警官が私服警官に敬礼をする描写」P43が気にかかり。
別の作家さんの作品内で制服警官が晴れて私服になった時につい癖で「敬礼」してしまい、注意されるのがパターンになっているのがあったので。
ドラマでも私服が私服に敬礼するのって見たことないし。目礼はあっても。
なので、実際はどうなんだろう?と。


コナン君でも出てきた「丸竹夷二押御池(まるたけえびすにおしおいけ)、
姉三六角蛸錦(あねさんろっかくたこにしき)、四綾仏(しあやぶつ)…」と言う通りなの覚え方が出てきてこれ、正式というか全部が書かれたものを一度探さなくっちゃ。P57
これが無いと京都の町は歩けない。


偶然にも今日は阪神大震災から20年。
本書にもP246「13年前に阪神大震災があって…」と言う描写がある。
たまたま借りた本にこういった偶然の一致があるとなんていうか…


この作者さんの本を3冊読んだわけですが、どの本にも共通して「生きているだけでもうけもの」的な思想があります。
P301『生きる意味を問う前に、生きていることがすでに意味を持っていると、私は考えている』
これは安易に死を選んでしまいがちな現代人(特に若い人)に対するいろんな意味が含まれているのかな?と。


死を扱いやすい推理小説の中に「生きること」を常に意識した小説を書き続けるこの作家さんが結構気に入っています。