Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

ダレン・シャン 奇怪なサーカス ダレンシャン

ダレン・シャン 1 (小学館ファンタジー文庫)
ダレン・シャン 1 (小学館ファンタジー文庫)
小学館

児童文学でそれなりに耳にしていた題名かと。児童室に置いてあったので借りてみた。


正直、日本の児童文学(某あさのさんの様に最後にこける作品もあるけれど)の多くは
大人が子供に向けて「正しい在り方を指し示す」方向に重きを置いているのがほとんどかと。むしろ善悪に関しては児童図書の方が優れているような気がする。
けれど本書。洋書が原作ということなのか、あちらの世界ではこういった傾向が主流なのかわかりませんが「ちょっと日本とは傾向が違う…」という点ははっきりとわかる。
特に子供(主人公)の行動や心の在り方が「真の子供らしい」と言うべきか。
未熟な人間が取る行動…善よりも悪の方に魅かれる…悪を悪と思わない思考、判断力。
なるほど「未成年の犯罪は未熟さからくるものがほとんどだから罰するより更生させる方に重きを置く」日本の考え方はこれに基づくものなのか…と納得するほどに。


大人に禁じられている場所にこっそり出かける
お金を親の財布からこっそり抜き取る
他人の物をこっそり盗んで自分のものにする
どうしてそんな大変なことになったのか真実を言わず黙って嘘をつきとおす…


とまあ、書き出すと「どんだけ本能に忠実やねん!」って感じですが、やはりそれなりの罰を食らう…ネタバレになりますがバンパイアとなって家を出ざるを得ない状況になる。
「盗んではならぬ」をはじめとした十戒を破ったのだから仕方ない…と戒める意味合いがあるのか。小学生にそれはきつすぎると同情すべきか。


映画化もされて大コケしたようですが、受け手の取り方次第だろうなあ…という位「不安定」な作品。12巻まであるそうですがワクワクして続きを読む…という感覚からほど遠い。