風味さんのカメラ日和 柴田よしき
- 風味さんのカメラ日和 (文春文庫)
- 文藝春秋
- 本
デビュー作の『RIKO』シリーズのハードバイオレンス系をし知っている人間にして見れが
えらくほのぼの系というか物足りなさの方に比重が傾きつまらなかった。
デジカメ市民講座を舞台にカメラを通して人生を知る…系なのですが今どきスマホで撮る方が誰が撮ってもきれいな仕上がりになるのに…と思いつつ読む。
最初の話で同じ被写体をメンバー全員で撮ったところ「全て同じものは無い=誰が撮っかわかるほど個性が出る」という記述が印象が残った。
p41
同じものを同じカメラで同じ設定で撮っているのに取った人の数だけ違うものが撮れる。それが写真の本質だと僕は思っています。だから自分で撮る意味があるのだと。(中略)それは、ここにいる九人がみんな、撮りたいものが違うから、なんです。
p166
写真とは記録です。しかし、この世界、目で見ている世界のコピーではない。我々はカメラを通して、自分自身の心の中の風景を撮っているのかもしれない
もしかして柴田さん自身、長い京都暮らしから東京方面に戻って書き始めた作品が
明らかにテイストが変わっているのも環境の変化があったのかもしれない。
続編がある含みで終わっていますが、たぶん、続編は出版にこぎつけられないと思う。
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