Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

君はレフティ 額賀澪

君はレフティ (小学館文庫)
君はレフティ (小学館文庫)
小学館

この作家のデビュー二作を読んだときは「才能のある人は違う」と高評価したにも関わらず、こうも続編がイマイチ続きだと「要は担当編集さんが有能だっただけ」と言わざるを得ない。面白いテーマを扱っている割に中途半端・消化不良感が否めない


事故で記憶を失った男子高校生が主人公
ただあまりにも「覚えていない」にしては記憶喪失前のキャラ(性格・物の考え)が
「大人すぎ」「出来すぎ」であるのに対して記憶喪失後が子供っぽいというよりこれが
スタンダード高校生だと思う。
逆にどの要素があったから記憶喪失前はこれほど「出来た人」だったのか?とそこに
疑問を感じる。
高校生であれば「親」が一番人格形成の手本になりがちなのに、彼の親はどう見ても
「悪い影響を与える」というかこれまた「世間一般的」「俗物」タイプなので「あり得ないよなあ…」という感じ


拝啓、本が売れません (文春文庫)
拝啓、本が売れません (文春文庫)
文藝春秋
Digital Ebook Purchas

↑これの取材をした後であればもう少し「キャラの個性」とかもっと言えば読者に嫌われる覚悟で「言いたいこと=作者の主張」を全面的に押し出して「結論」を出して欲しかった。
私の感想も奥歯にものが挟まった感じになっているのは「青春ミステリー風」の内容な為
「そこ」に触れることができないからこんなに中途半端な感想に。


そして
一番この本を読んでいる時に「引っかかった点」が
主人公目線で語っていたかと思うといきなり主人公の苗字である「古谷野は」と、
第三者が語っているような表記で書かれる事。それも頻繁に。
校閲チェックが入っていれば絶対に「統一指示」が出そうだからあえてこれで書いているという事は何か謎解きのヒント…?と深読みしたけれどまったく関係なかった



例えばp14

職員室の入り口に教員の席順を示した表があったお陰で(中略)



書類の山が壁になって周りの様子なんてわからないんじゃないかと思ったが、古谷野が近づくとすぐに先生は顔を上げ「おう、おはよう」と声をかけてきた。

               


わからないんじゃないかと(「僕は」思ったが、「僕が」近づくとすぐに先生は顔を…


とあくまでも「僕」が主語のはずなのに急に説明文的に第三者が語っているかのような描写
になって「誰が誰に対して語っている文章」なのかが統一されていないから「誰の言葉?」と混乱する文章になっているのだと思う。
(僕が重複するのを避ける為かもしれないけれど、そもそもは「僕」が先生を探している描写から始まっているので話者は「僕」しかありえないから…以下省略)
ミステリーなのであえて「ぼかしている」手法なのかと思ったけれど蓋を開けるとミステリーでも何でもなく…なんかものすご~く拍子抜けした結末にがっくり