Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

風に顔をあげて 平安寿子

風に顔をあげて (集英社文庫)
風に顔をあげて (集英社文庫)
集英社
2013-07-19

高校を卒業してから「プロのフリーター」を自称し、アルバイトで一人暮らししてきた風実。でも25歳になって、将来に不安を感じるように。そんな時、ゲイをカミングアウトした高校生の弟が実家から逃げてきた。さらに、プロボクサーを目指す恋人がケガでボクシングをやめると言い出して…あっちもこっちも問題山積みの風実の明日は?ままならない日々を頑張る女性に贈る、共感たっぷりの物語。


25歳はすでに結婚して丁度長男を出産した時なので、
ここに書かれているような「不安定な日々」を送ることなく
過ごせたことはある意味ラッキーなのか?と思った次第。
p8

「25は女の子。28までは女の子で、よし」

「28って、くぎりましたね」

「そりゃ、30過ぎて女の子呼ばわりしたら、失礼ってもんでしょ」

「そりゃ、まあ…そうかもしれないけど」



と言う風にある一定の年齢で区切られてくるし、なおかついくら彼氏が
いても結婚の意思もなさそうなのといつまでもダラダラ付き合っていてもなあ…
と主人公に「説教」したくなるぐらい自分は歳を取ってしまった。
長女として頑張っているのに誰も誉めてくれない。
「よしよし」してくれない…
書かれている世代も感覚も違うのに描写の随所に
「そうなんだよなあ…」と共感できる部分がちりばめられている。
ここがいわゆる「ラノベ」と全く違う点なんだと思う。
自分より若いか同い年の作家が書いても底が浅いというか
確かに文字は書かれているが薄っぺらく、読んでも何も残らない
小説が過半数を占める今の状況で自分より年上の人が嫌味なく
それでいて共感できる内容の小説を書いてくれるのは救いかも。