Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

果てしなき渇き 深町秋生

果てしなき渇き (宝島社文庫)
果てしなき渇き (宝島社文庫)
著者:深町 秋生
出版社:宝島社
カテゴリー:本

えらいもん読んじまったな~ってのが正直な感想。
最近どんな本を読んでも草食系というより童貞がラノベをオボちゃんも真っ青な位コピペしたようなもばかりが当たり前のように幅を利かせているからこの手のバイオレンスエログロって久しぶりに読んだな~という感じ。
昔は大藪晴彦とかそれこそ平井和正だってバイオレンスもの書いてたよなあ…
それがすっかりなりを潜め、軽くポップに大人の裏社会を小ばかにしたような作品ばかりだったのでこういった「うえ~~」ってのはホント、良く書いたなこの人。
エログロで「うえ~」は柴田よしきの『RIKO』シリーズを読んだ時も衝撃的だったし。
あれも女が男社会そのものの警察組織には向かい、そしてやくざにレイプされてもそれでも己の信念を曲げずに立ち向かっていく女の作家がこれでもか!!!!!と女の痛いところをわかりつつもえぐっていくところに共感となんていうか「がんばれ!!」感があったのに対してこちらはもうただただ「独りよがりな親父の痛い行動」でしかなく。
実際、痛いよなあ…このおやじ。
「娘の為、家族三人元のさやに…」って言っている割に他人の家族とかその他の人はどうでもいい感たっぷりで。めっちゃはた迷惑な親父。しかも警察官ときたらもう反吐でまくり。
現職の時は「仕事ができるやつ」だった設定の割にやっていることが穴だらけで、「ああこりゃ、おそかれ早かれ組織からはじき出されるよな…」ってわかるぐらいの痛々しさ。
加奈子の行方が知りたくて最後まで読んだけど、「は?」って感じのエンディング。
親父、やっぱりイカレテいるというか最後の最後まで自分勝手。
映画化したそうですが、原作通りだとみる人を選ぶよなあ…って感じ。
平和ボケと言うよりマイルドな作品ばかり氾濫している現代でこれだけ暴力的な内容を突き付けて成功するとは思えない。70年代80年代のたばこの煙があって、酒、女、ばくちと言った言葉が普通に転がっていてなおかつ「裏と表」の住み分けが存在していた時代ならありでしょうが。
逆に、加奈子のように裏も表も関係なくただ自分の復讐を果たすために行動するってのもある種の覚悟を感じます。その一方でやっぱりこのおやじはかっこ悪いとしか映らない。

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