Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

お家に、帰ろう 尾崎たまき

お家に、帰ろう~殺処分ゼロの願い
お家に、帰ろう~殺処分ゼロの願い
自由国民社
2015-08-02

この表紙の犬の写真を見て何も感じない人は、一生ペットを飼わないでほしい。
片野ゆかさんの

ゼロ! 熊本市動物愛護センター10年の闘い (集英社文庫)
ゼロ! 熊本市動物愛護センター10年の闘い (集英社文庫)
集英社
2014-05-20

本を先に読んで予備知識があったとはいえ、今回の本の作者は
「写真家」。
そうダイレクトに写真で現実を教えてくれる。
例の「殺処分」の処理場。
処理場に入る前の犬のおびえた表情。
そして何よりエピソード6の「白い犬」。
全てを悟り、受け入れ、そして許してくれている慈悲すら感じるそんな目をした犬。
この写真を見たら涙が止まらなかった。
多分一緒に死ぬことになった犬たちがおびえていたのだろう。
それを「大丈夫だよ」と言うように抱きしめている白い犬。
そして、処分された犬たちの山の上で「私が守ってあげるよ、大丈夫」と言うかの
ように横たわっている白い犬。
そして、燃やされ灰になっていった犬たち…


また、ハンドタオル一枚の上に安楽死させられた2匹の子猫。
本当に小さな、小さな命。さっき生を受けたばかりの命なのに。
それを…
「鬼、畜生」と言う言葉があるがそれ以上に残酷なのは「人間」、
もっと言えば「日本人」なのかもしれない。
日本人の残酷さ、身勝手さがこの一冊に詰まっていると言っても過言ではない。
その一方で譲渡され一度は消えかかった命の火を「一緒に暮らそう」
と言ってくれるのも日本人。
この両極端な感情を持つ民族に生まれたからにはやはり、
「ともに暮らそう」と言える側でいたいと心から思う。