神様のビオトープ 凪良ゆう

- 神さまのビオトープ (講談社タイガ)
- 講談社
- Digital Ebook Purchas
2017年発行
BLから本作にて一般文芸に転向した第一作
本当はこちらから先に読んで作家の「経歴・成長ぶり」を実感したかったのだけれど予約の都合上届いた順に読む羽目になってしまった
一見「甘いチョコレートケーキ」のような柔らかい文体(若干少女趣味?)と思わせるような雰囲気ですがさすが大賞を取った作家だけあって「ビタースイート」
「うわ~このチョコレートケーキ、カカオ72%でできてる!!」って感じでした
この作家さんの後年の作品にも脈々と引き継がれているテーマがずっしりと横たわってました
先に読んだ『私の美しい庭』でも個人的感想を書いたように好きな人には「たとえ一緒になれなくてもどこかで生きていてくれたらそれでいい」と私は思う
そんな気持ちを代弁するかのようなことが書かれているのが本作
好きな人がこの世からいなくなっても姿は見えなくても会話ができるとか存在が何かしら感じられたらうれしい(でも、いつか終わるのでは…と悲しい…)
一方本書では主人公「うる波(うるは)」には死んだ旦那さんの姿も見えるし喋れるしご飯も食べるし(物理的には無くならないけれど)今まで通りの生活を続けることができるのでなんて幸せなんだろう!!!
でも、人には絶対に言えない秘密でもある(頭、おかしい人認定確定だから)
ある日、この生活が終わってしまうかもという不安と恐怖
旦那さんが亡くなったことを実感させられる次の朝の心の痛み
苦しくて私も一緒に死にたかった…と思うのは大切な存在が急に無くなってしまったことの戸惑いとして私も想像できる
どの作品にもあるテーマの一つとして「他人の常識の押し付け」がある
本作でもいかんなく発揮…と言うより一作目だからこそどの話にも同じような表現が出て来る
p51
夫を亡くして心を病んだ(と思っている)妻に手作りの料理を差し入れる気遣いを見せながら、同じ手で傷口をえぐるようなことをする。けれど、そういう人は意外に多い。自分の矛盾に気がつかないだけで、本人は自分を善良だと思っている。
P 170
自分の常識からはみ出す人に、心配という大義名分で気軽に引っかき傷をつける人がいる。言ったほうには特に悪意がないから余計にタチが悪い。
P 198
世の中は複雑で、完全な被害者も完全な加害者もいないと知っている。右手で誰かを傷つけて、左手を別の誰かに傷つけられている。わかっているけれど---------------。
大切な人を失った時の心情も痛いほどわかる
P 201
鹿野くんも生きていてくれればよかったのに。
どんな絶望を抱えていてもいいから、生きていてくれればよかったのに。
もう何毎回考えたかもしれないことを飽きずに考えなら、今夜も私たちは向かい合い、幻の食卓を囲んでいる。
P 255
そんな美はいらない。私は今すぐ鹿野くんを返してほしい。
返してほしい。返して欲しい。返して-------------------。
30代後半の時に行っていたバイト先の担当さん(♀、当時50代)の旦那さんがガン闘病中に肺炎で亡くなった時「こんなこと(肺炎)で持って行かれるなんて--------------------。
どんな状態でもいいから生きてさえいてくれたらそれでよかったのに…」と言っていたのを思い出した
あと夫と何年一緒に過ごせるのだろう?
老後のお金より夫と一緒に居られる残された月日の方が私は心配
少しでも長く同じ時を過ごしたいと思っている

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