見かけは読書日記。中身は毒吐き日記

読書感想を模した毒満載の日記。
普段は西郷どん=夫 に連れられた「犬」
ですが、気に入らないことがあると
一瞬にして「ケルべロス」に変身します。
特に「不倫&W不倫」ネタはケルべロスの
格好の餌食なので該当される方はご注意を。

天山の巫女ソニン5 菅野雪虫著

天山の巫女ソニン 5 大地の翼 (講談社文庫)
天山の巫女ソニン 5 大地の翼 (講談社文庫)
講談社
2016-03-15

内容紹介

半島を形作る三国の平和がついに崩れ去る……。ソニンとイウォルが暮らす<沙維>は<巨山>に狙われ、<江南>も争いに巻き込まれる。平和を望む王女・王子たちは、密かに行動を起こし、平和を取り戻そうと動く。少女・ソニンが最終的に選んだ道は? ついに物語が完結する!


4巻目で引用した部分に呼応するかの如くの展開。
他国王女の国から他国王子の国に寄せられる耳触りのいい「お願い」。


この盟約に

『巨山と江南は、それぞれの国が他国と戦になった場合、

互いに助け合う。

ただし江南が巨山に送るのは物資と後方での人力のみ。兵は出さない』

と言う条件を加えるのです

という超アホ王妃の言葉を受け入れるこれまたアホ他国王。
上に立つのがアホ夫婦だと辛い思いをするのは国民…と言うのはそれこそ
わが日本でもただ今絶賛実感中!
命を懸けて参加したPKOの報告書まで「無かったこと」=危険な任務ではなかった
認定されたら行った自衛隊の人はホンマやってられませんわな。


唯一この申し出に反対する他国王子。

(ふん、戦場に行く危険の無い老人が。

巨山の始める「戦」と言う商売に便乗したいだけだろうが)

王子は心の中で毒付きましたが、老議員の後には「そうだそうだ!」

と言う声が続きました。

「我々も、もっと血を流すべきだ

「今の若者は拝金主義で、国の事を考えない。

もっと痛みを知るべきだ」

そんな勝手な議員たちの言葉に、王子の頭の中で何かが切れました。

(何が拝金主義だ。そんな国にしたのは誰だ。若者などとひとくくりにして、どうせ自分の息子や孫たちは戦場にやらず、貧しい者を戦わせればいいと思っている年寄りどもが!)

もうこの箇所に至っては「同感!」の何ものでもございません。
「もし今戦争が起こったら、うちの子完全戦場に送られるし…」
と戦争の話になると普段からやきもきしているし、その決定を安易に
国会議員は「自分たちは行かない」前提で挙手するだろうし。
何よりわれ先と安全地帯に逃げ込んでいる描写は
『シン・ゴジラ』でもそのことをしっかり揶揄されてましたしねえ…
「血を流す」も本当の血ではなくても「税金」と言う血をたっぷり流すことを
前提に進んでますしね。
自分達のお金はしっかりキープされたままでね。私腹を肥やすのは議員特権!
罪人もボーナスも年金もらえるしねえ…
まあ、読めば読むほど私の毒も絶好調になりそう…


とうわけで「戦」が始まってしまうのですがそこは3王子&王女の
「若き力」=新時代の幕開けの予感 を感じさせてこのシリーズは終了。
と言うか他国同士で決着をつけたのではなく内部紛争勃発でそっちの
火消しに奔走して自滅。まあ、古き体制・体質の崩壊の擬態とでもいいましょうか。
日本もごろっと新体制に一刻も早くならんもんかね?


そしてイルギのいう

「七割の法則」は面白いなあとも思いました。

「人は本当は皆善人だ」「いや、本質は皆悪だ」と決めつけるより、

「七割ぐらいは流されやすいからな」と言う方が、

ソニンが天山から降りからみてきた下界に近いような

気がしたのです。

もしかしたら三割ぐらいの人は『おかしい』と思っていたかもしれない。でもそう信じてくれた三割の人も、自分達の倍以上いる七割の人達にあれこれ言われて足がすくんだのでしょう。

「三割の人間はさ、どんなひどい状況になったって、そう簡単に

悪事に手を染めたりはしないもんだ。いわゆる『自分が許さない』ってやつさ。でも七割の人間は違う。状況や環境次第なんだよ。

どんな王様が上に立つかでも、ずいぶん変わるんだ」

情報時代と言いますが、情報に惑わされることなく自分の目で確かめて、
なおかつ冷静に判断して行動したいものですね。


そして最後に「児童文学書」らしい言葉で終わってます。

運命に選ばれるのではなく、

自分で選び取った運命を生きていく人間なのだから…



全ての事は偶然ではなく必然と言う言葉通り、何気に手に取ったこのシリーズは
自分にとって面白くそしてお勧めしたくなるシリーズでした。
こういう時本当にこの素晴らしき偶然(必然)に感謝!



天山の巫女ソニン4 菅野雪虫著

天山の巫女ソニン(4) 夢の白鷺 (講談社文庫)
天山の巫女ソニン(4) 夢の白鷺 (講談社文庫)
講談社
2015-03-13

未曾有の大嵐に見舞われ深刻な被害を受けた“江南”。折しもクワン王子に請われて隣国を訪れていたソニンは、国民の困窮する姿を見て心を痛める。“巨山”はすかさず食料の援助を申し出るも、侵略の布石ともとれる話に警戒するクワン。そんな中、“江南”に向かう“沙維”のイウォル王子が乗る馬に魔の手が迫る。


4巻目にして初めて自国王子&他国王子&他国王女が3人揃って
顔を合わせます。
まあ、頭の中お花畑系が多い日本人なら「王子と王女が出会うと…」と
即ラブラブハッピー物語を頭に浮かべがちですがなんのなんの…
他国王子=虎 他国王女=狼 として例えられます。笑
まあ自国王子はさしずめ「鳴かない犬」ぐらいでしょうか?
王子は「喋れない」と言う特性があり、ソニンが手を握って初めて
彼の声がソニンだけに聞こえるのですが、今ふと思ったのは
自国王子がもし「獅子」なら3人が集まると常にヤバイ緊張状態が続くのに
喋れない犬がいるだけで中和されるというかそこまでひどく揉めないのでは?
もっと言えば「言いたくても自分の意見を発することができない」状態って
「日本」そのものでは?と。深読み過ぎ??


また本書「予言書?」と思うような記述が。
他国王子の国が「大嵐」での被害描写ですが

「大波で一つの村が丸ごと消えたという地域もあります」

「ハン河流域の都市部で、半数以上の家々が倒れ、九割が水浸しです」

「わかっているだけで数十か所の堤防や堤が決壊しました。

田畑の被害は想像もつきません」



この本は2008年出版なので「東日本大震災」前ですし、
本年度の「西日本豪雨」ももちろん起こっていない時に書かれたのですが
読んでいてこれらの事を思い出しました。
そして「大災害」に陥った国に対して他国王女の国が「援助」を
申し出ます。
「タダでくれる物は貰わな損損」とばかりに大喜びする他国王族ですが
これも日本のODAで「働かなくても金がもらえる」とやる気を失っている
某国々と似てませんか?
しかも「作物の種も差し上げます」と実に耳触りのいい
申し出をしているのですが実はちゃっかり「大規模作物実験場」として
利用しようとする魂胆が隠されていて…

「食料を握られるということは、命を握られることになる。

我々は空の皿を前に、見えない鎖で繋がれた犬のようなものだ。

餌欲しさに主(あるじ)の命令には逆らえない。

極端な言えば、『沙維に兵を出せ』と言うような命令にも、

従わなければならなくなる」



なんかつい最近某国と某国の偉いさんが握手してましたよねえ…
ああ、怖い怖い。