Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

モノクロの夏に帰る 額賀澪

モノクロの夏に帰る (単行本)
モノクロの夏に帰る (単行本)
中央公論新社

これまたくそ重たいテーマをぶっこんで来たな!恐るべし額賀澪!!


ベースとして「戦争」
ウクライナとロシアから始まり、第二次世界大戦時のモノクロ写真をカラーにする本の
推薦帯を書いてくれ、と頼まれる書店員「黒瀬飛鳥」
この「飛鳥」という名前から「性別は?」と思いながら読み進めると「LGBTQ」問題にぶつかり、認知症の祖父を通して「介護問題」も絡んでくる
第一章 君がホロコーストを知った日へ


第二章が晴れて一冊の本になった『時をかける色彩』を読書感想と自由研究にしようとする
「戦略的保健室登校同盟」の2人の女子中学生
保健室登校する人間は負け犬なのか?せざるを得ない子供の気持ちは?


第三章は広島に住んでいるといやでも避けて通れない「8月6日の平和教育」
大学等で他府県に出るとその「平和教育」が全くなされていないことに驚くとともに
下手に騒ぐ方が「白い目」で見られる…
「広島出身だから次の終戦記念日特番はお前に任せた!!」と丸投げされて途方に暮れる
「平和教育の落ちこぼれ」の番組制作会社に勤める青柳



第四章はアメリカ人と日本人のミックス(ハーフ、とは表現しない)の高校生のレオが
国の歴史教育の違いに戸惑い、友達(?)になった桜太は3.11を機に福島から
出ざるを得なかった少年との交流を通じて「居心地の悪さ」の理由を知る
Remenber


短い文章が好まれるブログでこの本について感想を書くとしたら原稿用紙何枚分にも渡ると思う。そして真面目に書いたところで誰も読まないのが素人ブログ
出来れば、現役中高生にこの本を読んでもらって「戦争」そして「震災」についてもっともっと考えて欲しいと願う一冊


めちゃくちゃ引用したい部分がありすぎて困るほど「刺さる」
私たちが教えられている「真実」は本当に「真実」なのか?
ゆがめられて教えられて、信じ込まされているのではないか?
もっともっと「知ろう」と思って欲しいのに真実を言えば白い目で見られるのが
今の日本なのでは?


1990年うまれの作者、額賀澪がこの本を書くにあたって葛藤した背景を書店員「黒瀬飛鳥」が書いたことになっている本の帯のこの部分ではないだろうか?
p81


自分に戦争を語る資格があるのかと考えた。

深い知識も経験もないくせに、

昨日まで戦争なんて気にもしなかったくせに。

そんな風に後ろ指を指される気がした。

それでも、僕たちは今、考えないといけない。

経験者じゃない。専門家じゃない。何の権力も持っていない。

それでも、何かを。自分にできる何かを。

そう思う人の勇気を、この本は後押しする。

過去の戦争知り、今、すべきことを考えよう。

僕達は他人を想うことができる。

今、目の前にいる人を、およそ80年前に戦時下を生きた人々を、

地球の裏側で苦しむ人々を、想うことができる。

戦争するな。この言葉を否定する道理が、嘲笑っていい理由が、

この世にあるわけがない。

AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争 (光文社新書)
AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争 (光文社新書)
光文社

『時をかける色彩』のモデルとなったと思われるのがこの本 ↑