Noblesse Oblige  ~ノブレス・オブリージュ~

いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節

読書嫌いのための読書案内 青谷真未

読書嫌いのための図書室案内 (ハヤカワ文庫JA)
読書嫌いのための図書室案内 (ハヤカワ文庫JA)
早川書房
Digital Ebook Purchas

楽そうだから図書委員になったものの自己紹介で「好きな本は…ないです」と言ったために
顧問から「図書新聞を出して頂戴」と押し付けられた主人公。
ペアとして「本の虫」でもある一方、影の薄い女子生徒と組むことに。
適当に知り合いに読書感想を書いてもらって掲載したら升目を埋めれるよな…の流れで
親友に頼むと教科書に載っている鴎外の『舞姫』、美術部の先輩に頼むと題名を記されない感想文を渡され、そしてなんとなく(色々な意味で)気になる生物教師からは「君が先に感想文を書いてくれて読ませてくれたら書くよ」と提案された安倍公房の『赤い繭』。


要は「感想は読んだ人の分だけある」ということ。
これは私が高2の時に夏休みの読書感想文コンクールに漱石の『こころ』を読んで
天啓のようなひらめきが降りてきてそのまま書いて提出したら国語教師の担任に
この感想は、間違っている。書き直して来い!」と言われたけれど感想に正しいも
間違いもあるわけね~し、と提出するまでが自分の宿題の範囲。
内容がどうだろうと関係ないね、とそのまま放置した記憶がある。
後年、私の書いた感想と類似した説をどこぞの大学助教授が発表していたので
感想に文句をつける方が間違っている!という説を私は絶対に引っ込めない!


というわけで、読み手の性別・年齢・精神状態等によってどれ一つ同じ感想は無いはずなのにおしなべてほぼ全員「同じ感想」を書いてアップしている「読書メーター」の底の浅さ…すなわち一人目が「××である」と書いたら後は全員同じ意見を書いているその「付和雷同」してしまう現状。本読みとしての矜持は無いのか?と言いたくなる。
そんなに他人と違う意見を述べるのが嫌か?怖いか?
自分に自信が無いのもいい加減にしろ!


とまあ、色々な感想があってしかるべきであるという異端にとっては「勇気」がもらえた一冊。